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トレーニング&ケア

2022.08.18

理学療法士が解説するラジオ体操!ラジオ体操第2~姿勢改善に効果的編~

こんにちは。理学療法士の末廣です。

前回の「理学療法士が解説するラジオ体操!ラジオ体操第2~内臓機能活性化編~」はお読みいただけましたか?意外な効果だと感じた方も多くいると思いますが、便秘や呼吸が浅い、などのお悩みの方は、動作の注意点を意識しながら3カ月を目安に継続してみると体の変化を感じられるかもしれませんよ!

コロナ禍以降、在宅ワークが増加していることもあり、自分で意識しないと運動量の確保が難しい方も多いと思います。同じ姿勢で長時間作業を続けていると、肩こりや腰痛を引き起こしたり、不良姿勢の原因となることもあります。 そこで今回は、ラジオ体操第2の中から、不良姿勢をリセットできる運動を3つ紹介します!

不良姿勢ってなに?

不良姿勢とは、軟部組織(皮膚や筋、筋膜、結合組織)や関節などが原因で正しい姿勢が取れなくなったときに生じる姿勢のことです。さらにこの不良姿勢が肩こりや関節痛のような不快感や痛みをもたらす原因になることがあります。

例えば、長時間同じ姿勢でいると特定の筋肉が緊張しっぱなし、緩みっぱなしになり、姿勢に悪い影響を与えます。

反り腰や猫背にお悩みの方はとても多いですし、スマホ首やストレートネックといった言葉も近年ではよく聞くようになりました。腰やひざなどに痛みが生じやすいスウェイバック姿勢も、日本人に多い不良姿勢の一つです。

また、生活スタイルだけではなく、加齢や筋力低下なども不良姿勢につながります。人は本来、頭蓋骨につながっている背骨が頚部(首)で前方、胸で後方、腰で前方へ弯曲(わんきょく)し、仙骨へと移行し骨盤を形成します。この脊柱の自然な弯曲は固定されているわけではなく、動作や姿勢によって変化します。

例えば、日常生活やお仕事でも多くの動作は体の前面で行うことものがほとんど。脊柱の胸のあたりが丸まったような姿勢(パソコンやスマホを操作している姿勢をイメージしてください)を長時間続けると胸の前にある筋肉(大胸筋や小胸筋)が縮み、それを放置してしまうと徐々に肩(上腕骨頭)が前方へ変位してきます。これが巻き肩と呼ばれる姿勢です。また、やや斜め下のモニターを注視する時間が長いと頭部が前方へ変位します。スマホ首と呼ばれる姿勢がこの状態で、脊柱の頚部の部分の自然な弯曲が減少してしまいます。

ラジオ体操にはこれらの不良姿勢を予防・改善するのに適した動きが含まれています。さっそく見ていきましょう!

4番:胸を反らす運動

狙い

  • 胸部の脊椎(胸椎)をのばし猫背など矯正する。
  • 胸を開くと深い呼吸がしやすくなるため、習慣化すると呼吸機能の活性化につながる。

動き

①息を吸いながら腕を斜め上に上げて、胸を反らせる。(深い呼吸にあわせて腕を大きく動かす。)
②息を吐きながら胸を前に深く交差する。

注意点

  • 胸をしっかり反らして目線は自然に上へ。
  • お腹を前に突き出さない(腰を反らしすぎない)ように骨盤部分はなるべく固定する 動きに呼吸のタイミングを合わせる。

理学療法士目線で考えられる効果

胸の前面をしっかり伸ばすストレッチ効果があります。スマホやパソコンの作業が多く猫背になりやすい方には特におすすめ!巻き肩を招く胸の筋肉「大胸筋」や「小胸筋」が縮まり、固まることを予防できます。

胸郭(胸骨、肋骨、横隔膜)が広がり、肩甲骨やその周囲の脊柱も関節運動がおこるので、周囲の軟部組織の血流が良くなる効果も期待できます。

さらに息を吸ったり吐いたりを腕の動きと対応させて行いますが、胸が広がるときに空気が肺に入り、しぼむときに排出されます。同じ姿勢のまま意識せずに行う呼吸と比べるとより多くの肺胞で換気され、体の隅々まで酸素が行き渡ります。

9番:体をねじり反らせて斜め下に下げる運動

狙い

  • 胴体、胸部の筋肉を伸ばし、柔軟性を高める。
  • 胸、腰部の脊柱間の柔軟性を向上する。
  • 胴体全体的にほぐす。

動き

①両腕を斜めに大きく振り上げる。
②上体をねじり反らせる。
③右下に弾みをつけて2回曲げる。
④上半身を起こすと同時に両腕を左に用意し、反対側へ。

注意点

  • 体を上の方へ伸ばすイメージで腕を大きく動かす。
  • 上体をねじり反らすときは痛みが出ない範囲で行いましょう。
  • なるべく動きを止めず滑らかに運動しましょう。
  • 両足裏はしっかり床につけたまま行う。

理学療法士目線で考えられる効果

胴体の前面・背面や両方の足の太もも裏の筋肉が万遍なく伸ばされ、ほぐれ、姿勢の改善につながります。

ラジオ体操内の他の運動にはない方向(斜め上や斜め下方向)へのストレッチになり血行やそれぞれの軟部組織(筋肉や腱、腱膜など)も伸張性が高まります。バリスティックストレッチ(動的ストレッチ)のひとつとなります。

10番:体を倒す運動

狙い

  • 背筋を強化し、良い姿勢をつくる。

動き

①上半身を前に倒して、腕を上と後ろに振る。
②腕を前と後ろに。(①、②の状態を弾ませる)
③体を起こして腕を振る。

注意点

  • 体を前に倒す際は、頭は正面を向いたまま、胸を張って背中を緊張させて行います。
  • 背中が丸まらないように気を付けましょう。

理学療法士目線で考えられる効果

上体を倒したまま背中を緊張させることによって、腰回りの筋肉「脊柱起立筋」の筋力強化に効果的です。脊柱起立筋は立っているときに身体を支える役割をしています。筋肉が収縮することによって血行もよくなるので、普段背中が丸まるような姿勢を多くとってしまう方は是非行いましょう!

また、腕を前後に振る動作で、肩周辺の筋肉のリラクゼーションができ、肩こりの方にもおすすめの運動ですよ。

まとめ

2回にわたってラジオ体操第2のポイントを解説してきました。ラジオ体操第2は、ダイナミックで素早い動きが多いのですが、動作の初めと終わりの姿勢を意識して行うとリズミカルに行えるようになりますよ。また、「今どこを動かしているのか」、「どこをストレッチしているのか」など、どんな効果を得るためにこの動きをしているのかを頭で思い描きながら行うと、なんとなく動くよりも何倍も効果があると言われています。しっかり意識して行いましょう!

定期的な運動や積極的な外出が難しい方も中にはいるかもしれません。運動不足を防いで、健康的な生活を送る第一歩に、ラジオ体操をやってみませんか?
ラジオ体操は短時間で多くの筋肉を動かすことができるので、普段運動をする習慣のない方も始めやすく、効率の良い体操といえます。 長時間の作業で疲れたときは体を動かすことで気分転換になり、作業の効率が上がるという側面もあります。良い効果がたくさんあるラジオ体操ですので是非習慣にしてみませんか?

スリーウエルネス理学療法士 末廣

〈参考文献〉
・NPO法人全国ラジオ体操連盟『ラジオ体操みんなの体操テキストブック』NHKサービスセンター2018
・㈱日本総研一般財団法人簡易保険加入者協会委託調査研究『健康体操としてのラジオ体操の特徴に関する調査研究報告書』
・理学療法学Supplement『腹式呼吸を取り入れた呼吸ラジオ体操の有用性

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