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トレーニング&ケア

2022.07.27

理学療法士が解説するラジオ体操!ラジオ体操第2~内臓機能活性化編~

こんにちは!スリーウエルネス理学療法士の末廣です。

7月も終盤、学生さんは夏休みですね。夏休みと言えば、皆さんはどんな思い出がありますか?旅行や海やプール、自由研究…いろいろありますが、私が子どものころは近所でラジオ体操があり、皆勤賞だと夏休み最後の日にお菓子がもらえるため、毎朝、お菓子のために頑張って早起きした記憶があります。肝心のラジオ体操に関しては、注意点や意義を考えることもなく、なんとなく体を音楽に合わせて動かしていただけだったように思います。

恥ずかしながら、この職業に就き、初めてラジオ体操が体にとって大変有用なことに気づきました。しかし、ラジオ体操の恩恵を最大限享受するためには、どういう目的で体を動かしているのかを「知っていること」が重要です。どうせするなら、少しでも効果的に運動したいですね。

そんなラジオ体操について、理学療法士の目線で考えられる運動効果と注意したいポイントを解説します。今回はラジオ体操第2の中から内臓機能を活性化させる3つの運動を見ていきましょう!

ラジオ体操の歴史や体操を行うことについての身体的、精神的な効果については過去の記事にあるので、こちらも読んでみてくださいね。

ラジオ体操第2の運動の特徴は?

ラジオ体操第2は、第1と同様に3分間で13種類の運動で構成されています。第1と比較すると運動量が多く、どちらかと言えば青年~壮年期の方にお勧めの体操と分類されています。正しい動きで行うと脈拍が110~130と、ややきつい~きついと感じるよう設計されています。またバリスティックストレッチング(動的ストレッチング)の要素が強く、体を動かしながら筋肉を伸ばす動作が多くあります。

体操のテンポがラジオ体操第1と比べると少し早くなり、拍子の初めに強いアクセントを伴うようになっています。運動強度を上げるため、力強くその動作を行うような印象の音楽になっていますね。 また、体操全体を通してテンポが早く、大きな動作が多いので、始まりと終わりの姿勢を音楽に合わせられるよう意識するのがポイントになりますよ。

バリスティックストレッチングとは

動的ストレッチングの一種。筋肉を可動域いっぱいに伸ばした状態から、リズミカルな反動を利用した動きをともなう柔軟体操のことです。筋肉を伸長させる以外にも筋肉の温度を上げたり、心拍数を上げる効果が期待できます。バリスティックストレッチングについて詳しく解説したブログはこちらを読んでみてください。

5番:体を横に曲げる運動

狙い

  • 消化器官の働き活発にする。
  • 上体を真横に曲げて脇腹や背骨の柔軟性向上を図る。

動き

①左手をわきの下、右腕を横から振り上げて左曲げ2回。
②両手で体側を軽く2回たたく。
反対側も同様の動きを行います。
左右2回繰り返します。

注意点

  • 曲げる側のわきの下に拳をつけて、そこを支点に体を横に曲げましょう。弾みをつけて腕を大きく振って胸の横を延ばします。(バリスティックストレッチ)
  • 骨盤はなるべく動かしません。
  • 腰部に違和感のある方は反動をつけすぎず、ゆっくり動かすと良いでしょう。

理学療法士目線で考えられる効果

弾みをつけて体を横に曲げることで、硬くなりやすい体の側面の筋肉を柔軟にします。さらに、曲げる側の肋骨は間隔が狭まり、伸びる側の肋骨は間隔が広がるため、結果として肋骨が形作っている胸郭の柔軟性が増し呼吸機能の向上が期待できます。

また、体を左右それぞれ横に曲げることで腹部の左右にかかる圧力が変化します。その動きにより消化器官を伸び縮みさせるような刺激が加わり、消化器官の働きを活発にする効果があると考えられます。

腰よりわきに近い、体の側面を伸ばしたいので、足は腰幅、膝をしっかり伸ばして立ち、骨盤はなるべく動かさないようにすることで、体側上部をしっかりと伸ばせますよ。手だけを動かすのではなく、体をまっすぐにきちんと戻して動作を繰り返すようにしてみると良いでしょう。

6番:体を前後に曲げる運動

狙い

  • 消化器官の働きを促進する。
  • 腹筋、背筋を伸展させて猫背を予防し、背中まわりの柔軟性向上を図る。

動き

①腕を振りながら弾みをつけて、体を前下に2回曲げる。
②腕を振り上げて後ろに反らせる。
4回繰り返す。

注意点

  • 前にかがむとき上体や首の力は抜きます。
  • 上半身の重みを利用して弾みをつけながら体を前に曲げます。上半身の力は抜きます。
  • 後屈する時、腕は肩幅のまま肘を伸ばし、体を後ろへ反らします。
  • 腰に違和感のある場合は反動をつけすぎないように注意しましょう。

理学療法士目線で考えられる効果

前にかがむときは脊柱起立筋や腿の後ろ側のハムストリングスのストレッチ、後ろに倒すときはお腹の前面にある腹直筋のストレッチになります。

脊柱周囲の軟部組織(関節包や椎間板など)も伸展、屈曲両方の力が加わります。血流が良くなり、筋肉がほぐれるので、猫背予防や姿勢改善に効果があると考えられます。

また、普段の生活で負担のかかりやすい腰回りに心地よい刺激となり、筋肉がほぐれます。 消化器官の周囲がストレッチされることで消化器官にも刺激が入り、胃腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、消化器官の働きを促進されると考えられます。

11番:両足で飛ぶ運動

狙い

  • 呼吸・循環器の働きを促進させる。
  • 全身の筋肉をほぐし血行促進をはかる。
  • 脚力向上。

動き

①腕を横に広げて開脚跳び。
②閉じて軽く2回跳ぶ、腕は降ろす
4回繰り返す。

注意点

つま先までしっかり伸ばして跳びます。3拍子のリズムに合わせて、1拍目を強く強弱をつけて行いましょう。膝や足首に負担にならないように、膝と足首の向きをそろえて飛ぶようにしましょう。

理学療法士目線で考えられる効果

ジャンプすることによる振動が全身に伝わり、骨や筋肉、内臓組織などに刺激が与えられます。息が弾む位飛ぶことで、全身運動になり呼吸器官、循環機能の働きが高まります。 骨に対して刺激が入るので、骨粗鬆症の予防になると考えられます。

まとめ

今回はラジオ体操第2の中から内臓機能の活性化に効果のあると考えられる運動を3つ紹介しました。ラジオ体操第2の運動はテンポが速く運動負荷の強いものが多いため、それぞれの運動の開始と終了の姿勢を意識すると、テンポに合わせやすいですよ。ですが、頑張りすぎず、無理のない範囲で楽しみながら行うことが長続きの秘訣。日常的に運動していない方は、まずは無理のない範囲から始めましょう。3か月程度続けると体の変化を自覚される方が多いですよ!
ラジオ体操は起床後にはすっきりと目覚めるのにも効果がありますし、休憩時間などに行って仕事や勉強の気分転換にも最適。運動前の準備運動にも万能です。 ご自分に合ったタイミングで、行ってみてください。

スリーウエルネス理学療法士 末廣

<参考文献>
㈱日本総研一般財団法人簡易保険加入者協会委託調査研究『健康体操としてのラジオ体操の特徴に関する調査研究報告書』
かんぽ生命『ラジオ体操のポイントを動画で解説』
NPO法人全国ラジオ体操連盟『ラジオ体操みんなの体操テキストブック』:NHKサービスセンター2018

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