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トレーニング&ケア

2022.11.02

マラソンを最後まで走りきるための食事法 ~グリコーゲンローディング 実践編~

こんにちは、スリーウエルネス健康運動指導士の尾嶋です。

3年ぶりに開催される「おかやまマラソン2022」まで2週間を切りました。出走予定のランナーの皆さん、最後の追い込み、コンディショニングの時期ですよ!

以前のブログで、長時間続くマラソンなどのスポーツに必要な『エネルギー』を体内に蓄えるための食事法(グリコーゲンローディング)の理論と進め方について解説しました。そこで今回のブログでは、近年、持久性アスリートの多くが取り入れているグリコーゲンローディング「改良法」の実践についてのポイントを解説します。

グリコーゲンローディング「改良法」実践のための予備知識

グリコーゲンローディング「改良法」を実践するためには、糖質のうち、何を食べて何を控えるか、どのタイミングでどのくらい食べるかなどを自分で選べる力が必要になります。

GI値ってなんだろう?

その為の予備知識として、「グリセミック・インデックス(指数)」:GI値という指数が役立ちます。GI値とは、食後血糖値の上昇度を示す指数で、GI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。

つまり、糖質の食品を食べてから体内で消化・吸収される速さや、エネルギーとなって利用される速さを数値化したものがGI値です。GI値70以上の食品は吸収が早く、血糖を早く上昇させます。また、GI値55以下の食品は消化・吸収が緩やかに行われます。その間のGI値56~69の食品は中程度に分類されます。

GI値の高い食品、低い食品

ではGI値の高い食品、低い食品にはどんなものがあるのでしょうか?以下の表に簡単にまとめています。

表でのGI値は、ブドウ糖を100とした場合の血糖上昇率、および食品100g中の糖質含有率により算出しています。また、肉類と魚介類の項目は省いていますが、肉類と魚介類のGI値は40~50くらいを目安にしてくださいね。

グリコーゲンローディング「改良法」実践

前回ブログでも紹介しましたが、改良法のグリコーゲンローディングでは、レース7日前~4日前までは糖質エネルギー比50~60%程度の普段食べなれている食事を摂り、レース・試合3日前~当日にかけては糖質エネルギー比70%以上の高糖質食を摂ります。

ではどのような食事内容になるのか、詳しく見ていきましょう。

レース1週間~4日前の食事のポイント

1日のエネルギーの50~60%を糖質で摂るようにします。この期間は、普段通りバランスの良い食事をします、バランスの良い食事の押さえるべきポイントは3つです。

  • 1日3食決まった時間に食べる。
  • 主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を摂る。
  • 適量を食べる。

普段から規則正しい食生活を送っている方は、特に変えることなく継続し、食生活が乱れがちな方はレース1週間前くらいには、しっかり見直していきましょう。

適量ってどのくらい?と思う方は、「あなたの基礎代謝量は?自分に合ったエネルギーバランスを知ろう!健康のための栄養基礎知識」のブログを読んで参考にしてくださいね。

レース・試合3日前の食事のポイント

3日前からの食事は、1日の総エネルギー量の70%以上を糖質で摂るようにします。3日前の食事では、GI値で見た食品表のGI値55以下の食品で、主食・主菜・副菜・デザートをバランスよく摂るようにします。GI値の低い食品を取ることで、3日後のレース当日に使えるエネルギーが身体に蓄えられます。

この時に、糖質をエネルギーであるグリコーゲンに変換するためにはたらく、ビタミンB1とビタミンCを多く含む食材も併せて摂るといいですよ。

レース2日前の食事のポイント

2日前の食事も、3日前の食事と同様に1日の総エネルギー量の70%以上を糖質で摂るようにします。2日前の食事では、GI値で見た食品表のGI値56~69の食品で、主食・主菜・副菜・デザートをバランスよく摂るようにします。

人によってこの時期は、レース・試合前の緊張で消化機能の働きが低下して、食べなれたものなのにお腹が緩くなったりする場合もあるので、生ものや油っこいもの・強い香辛料などは避けて、消化のよいものを摂るようにしましょう。

レース1日前の食事のポイント

前日の食事も、3日・2日前の食事と同様に1日の総エネルギー量の70%以上を糖質で摂るようにします。前日の食事では、GI値で見た食品表のGI値70以上の食品で、できるだけ食べなれた消化のよいものを適量摂るようにしてください。

レース前日の食事では、腸内にガスのたまり易い根菜類と、肉や魚介類は控え、主食と果物を中心に摂るようにします。また、翌日のレース・試合に備え、夕食は就寝の3~4時間前にすませ、消化不良や胃もたれの原因にならないようにしてください。

レース当日の食事のポイント

レース当日は糖質中心の食事で、特に、エネルギーに変換しやすいGI値85以上の食品を選びます。併せて、糖質の吸収を促進するため、ビタミンB1を摂るようにしましょう。

また、食事のタイミングは消化時間を考えて、レース開始の3~4時間前までに終わらせておきましょう。3~4時間前に食事を済ませておけば、食べ物は消化吸収され、胃の中は空っぽになるため、からだは軽く、最適なコンディションでレースに臨むことができます。
当日の食事のポイントは以下の通り。

  • 食べる量は腹八分目を目安に。
  • 消化のよいものを食べるようにし、腸内にガスがたまり易い食物繊維の多い野菜サラダは避ける。
  • パンを食べるときはバターなどの脂肪の多い食品は避けて、ジャムやはちみつを使用する。
  • 飲み物はグレープフルーツ・オレンジ・いちご・レモンなどの果汁100%ジュースがお勧め。
  • ごはんをおにぎりにして食べるときは、海苔は消化が悪いので避け、具はクエン酸が豊富な梅や、抗酸化作用のある鮭、ビタミンB1が豊富な焼きたらこがお勧め。

以上で、レースに向けたグリコーゲンローディング「改良法」はひとまず完了です。

レース直前の補食のポイント

とはいえ、そのまま何も補給しないでレースに臨むわけではありません。レースの1時間前の捕食は、ランナーの重要なエネルギー源になります。レースがスタートする1時間前のタイミングでは、ごはんやパンのような固形物は時間的に消化吸収が間に合わないため、からだに即吸収される食品を利用します。特に糖質が豊富で吸収しやすいカステラやエネルギーゼリーなど、胃に負担の少ない糖質食品を摂りましょう。30分前からレース開始前までの間には、糖質を含有したスポーツドリンクやイオン飲料を、1回200ml以内でこまめに補給することで、レース開始前の栄養補給は準備万端です。

レース終了後の食事のポイント

走りきるための食事としてのグリコーゲンローディングではありませんが、レース終了後の食事も疲れた身体や酷使した筋肉をリカバリーするために重要です。

レース後は体内の水分とエネルギーが枯渇しており、強い倦怠感や疲労感が残るだけでなく、筋肉自体もダメージを受けて損傷しているため、一刻も早く回復させなくてはなりません。そのためのポイントは、レース直後の水分補給と栄養補給です。

レース直後の水分補給は、柑橘系のフルーツジュースや電解質入りスポーツドリンクがお勧めです。柑橘類に含まれるビタミンCやクエン酸で疲労回復を促進し、運動中の発汗により失われたミネラルを回復してくれます。また、スポーツドリンクからはレースで汗をかき失われた電解質を補給できます。

レース直後の栄養補給は、枯渇した筋肉内のグリコーゲンの回復と、ダメージを受けた筋肉の再生を促すことが主目的です。そのため、終了後できるだけ速やかに、糖質とタンパク質を同時に摂ることが理想的です。できれば、消化器に負担をかけないエネルギーゼリーや、アミノ酸系サプリメントなどがお勧めですよ。

まとめ

グリコーゲンローディングはレース中のエネルギー切れを防ぐ有効な方法の一つですが、正しい方法で行っても、結果が出る人と出ない人がいます。また、グリコーゲンローディングは、メリットだけでなくデメリットもある特殊な食事方法なので、いきなり本番に向けて実施するのではなく、何度か事前に試してみて自分に合ったグリコーゲンローディングを見つけることが大切です。ただし、実際にグリコーゲンローディングを行うかどうかは、レース時間や自分の体質などを考慮して、不安があれば専門家などと相談の上、判断してくださいね。

スリーウエルネス健康運動指導士 尾嶋

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