骨粗しょう症ってどんな病気?正しく理解して骨折しにくい強い骨を目指そう!
目次
こんにちは。スリーウエルネス理学療法士の末廣です。
すっかり春めいてきましたね。外で体を動かしたくなる季節になってきました。
実はこんなにも多くの人が骨粗しょう症!
みなさんは骨粗しょう症ってどんな病気かご存じですか?
骨粗しょう症と診断されている方は実はとても多く、厚生労働省によると年代別で50代で9人に1人、60代で3人に1人、70代ではなんと2人に1人の割合で骨粗しょう症と診断されているそうです。
また、特に女性では50歳以上の女性の3人に1人は骨粗しょう症になるという調査結果もあります。
多くの方に発症の可能性があり、年齢を重ねるごとに身近になってくる病気、それが骨粗しょう症。今回は骨粗しょう症とその予防について解説します。
骨粗しょう症ってどんな病気?
骨粗しょう症とは『骨がもろくなり骨折の危険性が高くなる状態』。
骨がもろくなっても、そのことで痛みが出る、動けなくなるなど体に現れる症状はありません。しかし骨がもろくなった結果、小さな力が加わるだけで骨折する危険性が高まります。
高齢者に多い骨折部位は?
骨粗しょう症の有無にかかわらず、骨折すると強く痛み、折れた部位によっては寝返り・立つ・歩くなど日常生活に不可欠な動作が困難になります。骨粗鬆症であったり高齢であるなどの理由で、動けない期間が長くなった場合、骨折は治っても筋力や動作能力が以前の状態に戻らずに、寝たきりの原因になることもあります。
骨粗しょう症を発症した高齢者が骨折しやすい代表的な部位としては、
- しりもちを原因とした背骨の圧迫骨折
- つまづいて転んだ際に起こりやすい腿(ふともも)の付け根(大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ))の骨折
- 転倒して手をついた際に起こりやすい手首(橈骨遠位端(とうこつえんいたん))の骨折
などがあります。
特にご高齢の方の背骨や大腿骨の骨折は。寝たきりのきっかけになることが多いので、生活環境も含めて本人も家族も注意が必要です。
骨粗しょう症の原因
骨がもろくなるといえば、「骨密度が低下する」「骨がスカスカになる」という話をよく聞きますよね?骨密度は骨の量ですから、骨折しやすいかどうかにおいて重要な要素です。
なんで骨密度が低下するの?
骨密度の低下は、骨の新陳代謝のバランスが崩れていくことが原因。
骨は3か月周期で破骨(はこつ)細胞が古い骨を破壊・吸収し、骨芽(こつが)細胞が新しい骨をつくる(再生する)ことで代謝をしています。
加齢に伴い骨の再生能力は衰え、吸収と再生のバランスが崩れて、骨密度が低下していきます。
また、女性の場合は閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が低下します。この女性ホルモンには骨の吸収を抑える効果があります。女性ホルモンの量が減ることで骨吸収が進み、再生能力は加齢により低下したままなので、結果として骨密度の低下につながります。
骨密度だけじゃない!「骨質」も大事!
ところが近年、骨密度は正常値に近い値でも、骨折しやすい人がいることが判明しました。その原因は「骨質」。人によって、「骨質」に違いがあることがわかって来たのです。最近の研究では骨の強さを決めるのは、「骨密度70%、骨質30%」と言われています。
骨質も年齢とともに変化していきます。骨の成分といえばカルシウムが思い浮かびますよね。カルシウムなどのミネラルは骨の土台、建物でいうとコンクリートのような役割をしています。強い骨を作るためにはビルと同じで土台をつなぐ鉄筋が必要。その鉄筋の役割をコラーゲン線維が担っています。このコラーゲン繊維の質を「骨質」と呼びます。
コラーゲン線維は関節や靭帯でも重要な役割をしている組織ですが、骨でも重要な役割を担っています。強くしなやかな骨になるには、コラーゲン線維の柱がきれいにならんで、ミネラルが均等に付着する必要があります。コラーゲン線維の質や量が低下するといくらミネラルの量が十分であっても、均等に付着しなかったり微細な傷ができたりして、骨質が低下するのです。
骨質(コラーゲン繊維)が劣化する最大の原因は、ビタミンB6やB12、葉酸の不足だと言われています。カルシウム摂取と同時に、ビタミンB6、B12、葉酸を多く含む食材もしっかり摂取することが重要なんですね。
骨粗しょう症の原因は、年齢やホルモンバランスの変化の他にも、生活習慣や内科的疾患によって続発するものなど様々。また、骨がもろくなっているかどうかは自覚症状がありません。だからこそ、自分の状態を知り、予防するためにも定期的に骨密度の測定などを行うことをおススメします。過去に骨折したことがある方、腰痛などの強い痛みで日常生活が不自由になったことがある方は、定期的な検査が大切です。
それを踏まえたうえで、食事、運動、睡眠、内服治療など様々な要因のバランスを整え、積極的な運動で骨にも刺激を入れていきましょう。
骨粗しょう症を防ぐには?
加齢による骨密度の減少や骨質の劣化を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
まずは食事!
まずは栄養です。骨代謝に重要な栄養素の摂取が必要になります。骨密度を強くするためには、カルシウムの摂取や、カルシウムの吸収をよくするビタミンDの摂取が重要。ビタミンK、たんぱく質も骨代謝に重要な栄養素。高齢になるとたんぱく質不足になる方も多いので気を付けましょう!
また、同時に骨質を高めるために、ビタミンB6、B12、葉酸も併せて摂取するのが大切ですよ!
カルシウム:
牛乳、乳製品など
たんぱく質:
肉、魚、大豆製品など
ビタミンD:
シラス干し、魚類など
ビタミンK:
納豆など
ビタミンB6:
赤身魚、肉類など
ビタミンB12:
二枚貝(シジミ、アサリ)など
葉酸:
ほうれん草 レバーなど
屋外で活動しよう!
ビタミンDは、食事だけでなく日光を浴びると体内で合成されます。だからこそ、適度な屋外での活動も重要。冬であれば30分~1時間程度、夏は木陰で30分程度過ごすだけ十分です。1日に一度は外に出ましょう!
運動も重要!
運動は、骨密度を維持・向上させるといわれています。
骨に体重がかかるような運動をすると、その刺激によって、骨にカルシウムが沈着しやすくなります。また運動を行って、血流がよくなると骨を再生する細胞が活発に働きます。
骨密度が改善することは、骨粗しょう症予防の第一歩。さらに、筋力やバランス能力が向上することで転倒しにくくなるため、骨折予防に関しては一石二鳥です‼
おうちで骨粗しょう症予防運動!
ご自宅で簡単にできる運動をいくつかご紹介します。
片脚立ち
1.壁や椅子などの前に立ち、足を肩幅に開きます。
2.壁や椅子に手を添えながら、片脚を少し浮かせます。
3.2の姿勢を10秒キープします。
反対側も同じように行いましょう。
※片脚立ちをする時は、体が傾いたり、背中が丸まったりしないようにすることがポイントです。
つま先立ち
1.壁や椅子などの前に立ち、足を肩幅に開きます。
2.壁や椅子に手を添えながら、かかとを床から離していきます。
3.かかとをストンと落として、かかとに軽い衝撃を与えます。
これを10〜20回繰り返します。
※かかとに衝撃を与えることで、骨を再生する細胞が活性化するといわれており、骨粗しょう症にも効果的です。
スクワット
1.立った状態で足を肩幅に開きます。
2.背中が丸まらないよう、胸を張って膝が90度になるくらいまで体を下ろしていきます。
3.膝を伸ばして1の状態に戻します。
これを10回繰り返します。
※膝を曲げるのがきつい場合は、曲げる角度を浅くして行いましょう。
※背スジをまっすぐすること、膝がつま先より前に出ないこと、膝とつま先が同じ方向に向くことがポイントです。
そのほかにも・・・
他にも、ウォーキングやジョギングのような重力がかかる運動も効果的です。転倒の危険性がないのであれば、おもりを持って少し負荷を多くした状態で歩くのも良いですね。ラジオ体操のように跳躍がある運動や、少し前に流行ったハンズクラップダンスも効果的ですよ。
マシンやダンベルなどを使った筋力トレーニングも骨に刺激を与えることができます。筋肉は骨とつながっています。そのため、筋力トレーニングで負荷をかけるたびに筋肉の収縮が起き、骨にも刺激が伝わります。ウォーキングやジョギングは主に脚(腰から下)の骨や背骨には刺激を伝えられますが、上半身の骨に対しては刺激が十分ではありません。筋力トレーニングでは普段の生活やウォーキングでは刺激が入りにくい上半身の骨にも刺激を与えることができます。
ただし、無理は禁物。骨がもろくなっている状態で強い刺激を加えると骨折することもあります。今の状態を知るために定期的な検査を受け、専門家のアドバイスを受けながら運動しましょう。特に骨折経験や腰痛・関節痛がある場合は整形外科医に相談してから運動するようにしましょう!
まとめ
骨粗しょう症の予防と治療の大きな目的は、骨折を予防し、その人らしく健康に、自由に質の高い生活を継続することです。
スリーウエルネスでは、様々なマシンや有酸素運動機器を設置しています。運動が苦手な方、一人で運動するのが不安な方、運動指導のご希望やケア施術と運動を一か所で行いたいというご希望の方はぜひ一度ご相談ください!
骨粗しょう症以外にも骨折予防についてはこちらのブログ(転倒予防)を参考にしてみてくださいね。
スリーウエルネス 末廣
《参考文献》
社団法人日本整形外科学会:骨粗鬆症パンフレット 2010.8
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編集:骨粗鬆症予防と治療ガイドライン2015年版
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf