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トレーニング&ケア

2022.12.21

理学療法士が解説!関節リウマチってどんな病気?関節リウマチの運動療法とは?

こんにちは。スリーウエルネス理学療法士の原田です。

12月に入り、本格的な冬到来。寒さで毎朝、布団から出るのに勇気がいりますね。誰しも寒い冬には朝起きたときに何となく、体が動かしづらいことありますよね。しかし、毎朝、手足の関節がこわばって動かしづらい、痛みが強いという方いませんか?

その症状、実は「関節リウマチ」かもしれません。 「関節リウマチ」という病気の名前を一度は耳にしたことがあるという方、多いと思います。どんなイメージの病気でしょうか。指が痛い…?曲がってしまう…?今回はそんな「関節リウマチ」について解説します。

関節リウマチってどんな病気?

厚生科学審議会疾病対策部会「リウマチ等対策委員会報告書」によると関節リウマチの罹患率(りかんりつ:病気にかかっている人の割合)は人口の0.6~1.0%、日本での患者数は60~100万人と推定されます。

関節リウマチの病因・病態はいまだ十分には解明されておらず、発症の予防や根治的な治療は残念ながらありません。しかし、近年では臨床症状や血液検査、画像検査から早期に関節リウマチを診断することが可能になってきました。

関節リウマチと免疫

関節リウマチの発症には「免疫」が関係すると考えられています。新型コロナウイルスが流行し、「免疫」という言葉をよく聞くようになりましたね。

「免疫」とは自然に備わった自己防御システムのこと。外部から体内に侵入し、体に有害な細菌やウイルスなどを破壊し、それらを排除する働きがあります。例えば、風邪をひくと咳(せき)やのどの痛みが出たり、発熱しますが、これらの症状は身体が細菌やウイルスと闘って攻撃し、排除しようとするために起こります。

しかし関節リウマチでは、免疫になんらかの異常が生じ、自分自身の細胞や組織を「体に有害なもの」と誤認し、攻撃してしまいます。その結果、関節の腫れや痛みが現れます。その炎症が続くと、関節周囲を取り囲んでいる滑膜(かつまく)が腫れ、さらに炎症が悪化すると、骨や軟骨を破壊していきます。

関節リウマチの治療

近年、治療は生物学的製剤をはじめとする新しい治療薬が次々と臨床応用され、「治療困難な疾患」から、「疾患を持ちながらも、普通の生活を送ることが可能な慢性疾患」となりつつあります。以前は消炎鎮痛薬やステロイドで痛みや炎症を軽減するなど、短期的なQOL(生活の質)の改善を目的とする治療が中心でした。しかし、現在は発症早期に疾患の活動性を抑制し、関節変形・破壊を予防し、長期的予後の改善を目指す治療へと変化してきています。

関節リウマチの症状

関節リウマチの症状の経過として、初期は滑膜の炎症により、関節の痛みや動かしにくさが生じ、さらに、炎症が進むと痛みが強まり、最終的には軟骨や骨が破壊され、関節が変形してしまいます。

関節の変形が強くなると、手足に機能障害が生じ、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)が低下してしまいます。 リウマチには活発に悪さをする時期(活動期)とそうでない時期があり、活動期には身体のあちこちに症状が出やすくなります。

関節リウマチの代表的な症状

関節リウマチにはいくつか特徴的な症状があります。

朝のこわばり

朝、目覚めたときに手足の指などの関節が動かしにくく感じることがあります。これは、寝ていると長時間関節を動かしていないことが関係しています。

関節炎

関節に痛みや、熱感を感じたりすることがあります。手首や指の付け根、指の第二関節が症状の出やすい部位です。

関節水腫(かんせつすいしゅ)

関節炎が起こり、炎症によって滑液(かつえき)が大量に分泌され、関節が腫れあがってしまいます。これを関節水腫と呼ばれます。さらに、滑膜組織の増殖で骨が破壊されると、動かしたときに強い痛みが現れたり、関節が変形してしまいます。

腱鞘炎(けんしょうえん)

筋肉の末端には腱(けん)と呼ばれる部位があり、腱は骨に付着しています。その腱は腱鞘(けんしょう)という筒の中を通っています。腱が腱鞘の中をスムーズに動き、骨を動かすことで関節は曲がったり、伸びたりします。関節リウマチによって腕の腱や腱鞘にも炎症が広がると腱鞘炎を引き起こします。

滑液包炎(かつえきほうえん)

滑液包(かつえきほう)とは液体で満たされた平らな袋のことです。関節同士がぶつかり合う衝撃や筋肉同士が動いた時に擦れて摩擦を起こしてしまうのを和らげる働きがあります。関節リウマチにより滑液包が炎症を起こし、腫れや痛みを引き起こします。

関節変形

関節リウマチの初期症状は「こわばり」や「腫れ」となって現れますが、病気が進行するにつれ、骨や軟骨組織が破壊され、関節の変形が起こってきます。一度変形を起こすとそのままの形で固まってしまいます。 変形が重度になると、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の低下を招き、要介護状態になるなど、社会的負担が大きな症状です。

その他の症状

症状は関節の内外に現れます。関節外症状は身体機能や生命の予後に大きく関わります。関節外症状には微熱、耐久減少(疲れやすくなる)、貧血、リンパ節の腫れなどのほか、目や口が乾いたり、息切れ、だるさなどがあります。

また、痛みによる活動性低下と抗炎症のためのステロイド投薬の影響により骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を合併しやすいと言われています。関節の初期症状は手に生じやすく、左右対称的に認められることが多いのが特徴です。

関節リウマチと運動

関節リウマチにおける運動療法の主な目的は関節可動域の改善・維持、関節破壊の予防、筋力の増強・維持、持久力の改善、身体活動の改善です。近年、運動自体がリウマチ性疾患の炎症を制御することが明らかにされつつあります。

関節可動域訓練

関節リウマチによるこわばりや関節炎症による痛みが強くなると、痛まない姿勢を取り続けてしまいます。長時間同じ姿勢を取り続けると、筋肉や軟部組織が不動状態となり、関節が固まる「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」と呼ばれる状態が作られやすくなります。関節拘縮が起きると、関節可動域が大きく制限されてしまいます。このため、以下の2点を目的として関節可動域訓練を行います。

① 関節運動を行いやすくするための関節周囲筋の可動域改善
② 痛みのある関節が痛みの限界領域まで動く許容範囲を広げる

可動域改善に対しては筋肉へのマッサージやストレッチが有効と言われています。また、痛みの限界領域を許容範囲を広げる訓練は、急性炎症期や重度の変形のある関節は避けて行います。

筋力増強訓練

関節に加わる負担の軽減や関節拘縮予防などを目的に筋力増強訓練も行います。

関節を動かすと痛みが強い場合は、関節を曲げ伸ばしする運動ではなく、関節を曲げ伸ばししない「等尺性運動(とうしゃくせいうんどう)」で行います。等尺性運動とは、筋長(筋肉の長さ)を変化させずに筋肉の収縮を引き起こし、収縮を維持することで筋肉に刺激を加え、筋力の増強を行う運動のこと。関節運動を伴わないため、関節に痛みがみられる患者さんにも適応できます。リウマチにおける筋力増強訓練は特に炎症期にはこの「等尺性運動」が中心となります。

関節リウマチの活動性がコントロールされて、炎症がみられない時期には「等張性運動(とうちょうせいうんどう」と呼ばれる一定の負荷で関節の動きを伴う運動を行います。

関節リウマチの等尺性運動と等張制運動の選択には、痛み以外にも、筋肉の部位によっても訓練の効果に差があります。脚や体幹などの筋肉は長時間持続して張力を維持する場面が多いため「等尺性運動」が、腕や顔面などの筋肉は大きな力は必要とはしませんが、巧緻性(ちみつせい)に富んだ素早い運動が必要なため「等張性運動」が効果的と言われています。

また、リウマチは肺が弾力性を失う「閉塞性肺疾患」や「間質性肺炎」を併発しやすいため、合併症を考慮し、呼吸筋、腹筋などの体幹筋も強化しておく必要があります。

まとめ

スリーウエルネスでは病気をお持ちの方、健康に不安がある方などに対し、運動とケアで健康を取り戻すお手伝いをします。理学療法士の資格を持ったトレーナーがお客様のトレーニングに対応。また、看護師も常駐しているので、健康の悩みや困りごとなど、なんでもお気軽に相談いただけます。

関節リウマチの有無にかかわらず、スリーウエルネスでは全てのお客様の健康増進のためにトレーニングやケアを行っています。痛みに悩んでいる方、何から始めていいか迷っている方、スリーウエルネスで運動やケアを始めてみませんか?

スリーウエルネス理学療法士 原田

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