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トレーニング&ケア

2023.04.14

理学療法士が解説!有酸素運動と無酸素運動の違いとは?身体の中で何が起こってる!?

こんにちは!スリーウエルネス理学療法士の末廣です。
寒さも緩み、あたたかな日が増えてきましたね。入学シーズン、晴れやかな新入生の顔を見かけると、昔の自分のことを思い浮かべて、また初心に戻れるような気がします。

4月から入学や入社、転勤などで、新生活が始まった方の多いのではないでしょうか。新たな生活が始まるときは誰しも不安がつきもの。リラックス方法はいろいろとありますが、定期的な運動は心の平静を保つのに効果的だと言われています。

ウォーキングやジョギングなどで心拍数を上げたのち、息を整えて気持ちを落ち着かせると副交感神経が優位になり、心も体もリラックスしやすい状態になります。また、筋トレなどの高負荷な運動では気分の高揚が得られます。新生活をきっかけに自分に合った運動をみつけ、習慣化することは、心や体の健康を保つためにもとてもおススメですよ!

有酸素運動と無酸素運動

「無酸素運動」と「有酸素運動」という言葉はよく聞きますよね。短時間の瞬発的な運動や高負荷のいわゆる『きつい運動』が無酸素運動、長時間の緩やかな運動が有酸素運動というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

運動の目的によってどちらの運動をどの程度行うのか正しく選択することで、より効果的に目的を達成することができます。今回は無酸素運動と有酸素運動の違いや、それぞれの身体に与える効果について解説します。

体や筋肉を動かす「エネルギー」とは?

無酸素運動と有酸素運動の最大の違いは、体を動かすために消費する「エネルギー」の利用方法です。それぞれの違いを見る前に、まずは体を動かすエネルギーについて簡単に見ていきましょう。

筋肉の収縮など生命活動に使われるエネルギーを貯蔵、利用するのが「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質です。筋肉の収縮だけではなく、すべての生物や微生物の細胞内に存在し、生命活動を維持するために働いています。

ATP(アデノシン三リン酸)は「アデノシン」、「リン酸」という2つの物質とリン酸同士を結合させている「エネルギー」の3つの部分から成り立っています。リン酸同士の結合部分には高いエネルギーが存在し、リン酸が1つ放出されると、同時に結合されたエネルギーも放出されます。このエネルギーが実際に筋肉や体を動かすエネルギーとして利用されます。

ATPがリン酸とエネルギーを放出した後、細胞内にはADP(アデノシン2リン酸)と一つのリン酸が残りますが、この残ったADPとリン酸は様々な過程を経て、再びATPへと合成され、エネルギーを再供給することができます。

無酸素運動も有酸素運動もATPからエネルギーを取り出し、運動に利用していることに変わりはありませんが、利用の仕方や再合成の方法に違いがあります。

無酸素運動でのエネルギー代謝

無酸素運動とは、酸素を使用せず筋肉を動かすエネルギーを作り出す運動のこと。安静時から筋肉にはATPが蓄えられており、急な運動時にすぐに使えるようになっています。例えば野生動物は突発的に外敵に襲われることがあります。その時に呼吸で取り入れた酸素を利用してエネルギーを取り出し、それから回避行動を起こしていては、動き出しが遅くなり、回避が間に合わなくなってしまいます。そのため、生き物には咄嗟の動きや瞬発力を発揮する際に酸素を使わず動けるような機能が身体に備わっています。

無酸素運動でのエネルギー利用には2通りの方法があります。

一つ目が、ATPがエネルギーを放出したあと、残ったADPとリン酸を、クレアチンという仲介物質を用いてATPに再生成し、そこからさらにエネルギーを作り出し利用する方法。もう一つは筋肉に蓄えられた「グリコーゲン」という糖質を利用してエネルギーを作り出す方法です。しかし、もともと筋肉に蓄えられているATPやグリコーゲンには限りがあり、全力で体を動かすと、1分も持ちません。それ以上のエネルギーを作るには酸素が必要になります。

有酸素運動でのエネルギー代謝

一方で、酸素を用いて作られたエネルギーを利用する運動が有酸素運動です。酸素と糖質・脂質を利用し、筋肉内のミトコンドリアという細胞の中で大量のATPを合成し、エネルギーを取り出します。

エネルギーの合成に使用される糖質と脂質の割合は運動の激しさ(運動強度)によって異なります。糖質と脂質は細胞の中での分解のしやすさが異なります。糖質は脂質に比べ細胞内に入り込みやすく、脂質はより多くの酸素が細胞内に供給されている状態の方が分解されやすいという特徴があります。

このことから、有酸素運動でもより息が上がりやすい高強度な運動では糖質を利用する割合が多く、中等度な運動では糖質と脂質は半々の割合でエネルギー供給に利用されると言われています。

また、運動の継続時間によっても糖質と脂質の利用比は変化します。運動時間が長くなったり、運動強度は強くても、適度な休憩をはさみながら呼吸を落ち着かせ、筋肉の細胞内に酸素がいきわたるようにすると脂質の利用が増えると言われています。

体内に蓄積された脂肪をより燃焼しようという目的で運動する場合、呼吸が上がりすぎない軽い運動を長時間行うことで効率的に脂質の代謝を促せるというわけです。

有酸素運動と無酸素運動どちらを選ぶべき?

有酸素運動と無酸素運動、エネルギーの消費方法の違いから、運動実施によって得られる効果も変わってきます。

こんな人には無酸素運動

冷え性の体質改善のために基礎代謝をあげたい、高くジャンプするために瞬発力を上げたい、筋肉量を増やしたい、短距離走のタイムを縮めたいなど、筋肉を鍛えたい、瞬発力を上げたいという場合は無酸素運動を取り入れると良いでしょう。

ウエイトトレーニング、マシントレーニング、スクワットや腕立てなど自重を利用したトレーニングなど筋力トレーニングが無酸素運動に該当します。

運動の種類や回数、負荷量は、その人の目的や運動レベルによって変わってきますが、これから無酸素運動(筋トレ)を始める場合、まずは15回安心してできる重さ(負荷)から始めて、徐々に回数や負荷量を調節しましょう。 分かりにくい方、けがが心配な方、動作に自信がない方はパーソナルトレーニングで専門家にチェックしてもらうのがおすすめです。

こんな人には有酸素運動

ダイエットのため体の脂肪を燃焼させたい方や内臓脂肪が気になる方、血糖値が気になる場合などは有酸素運動がおすすめです。具体的にはウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などが挙げられます。脂肪をより燃焼させたい方は息が上がりすぎない程度の運動をなるべく長時間行うと効率的ですよ。

また、有酸素運動では酸素を血液で運搬するため、血流量が増加し心肺機能も強化されます。持久力をあげたい方にも有酸素運動が適しています。糖質、脂質を代謝するので、血液検査の結果でコレステロール値が気になっている方にも効果があります。

組み合せることで効果がアップすることも!

ただしダイエット目的の場合、やみくもに有酸素運動だけを行うよりも、無酸素運動(筋トレ)を取り入れることで、ダイエット効果が飛躍的に高まります。 筋肉量が増加すると基礎代謝が上がるため、運動によるエネルギー消費以外にも、普通に生活するだけで、より多くのエネルギーを消費する身体へと変わっていきます。目的に合わせ、有酸素運動と無酸素運動の内容うまく組み合わせ、効率的に健康な体を手に入れましょう!

まとめ

スリーウエルネスではご要望に合ったパーソナルトレーニングをお体の調子を見ながら適切に指導できます。有酸素運動と無酸素運動、どっちを選択しよう?自分にあったトレーニングが分からない、一人で継続するのは難しいな…など、お気軽にご相談くださいね!

スリーウエルネス理学療法士 末廣

〈参考文献〉

  • 上田伸男,矢野博巳『健康づくりの新運動生理学』アイ・ケイコーポレーション,2021
  • 中里浩一,岡本孝信,須永美歌子『1から学ぶスポーツ生理学』(有)ナップ,2012
  • 杉晴夫編著,『やさしい運動生理学』南江堂,2016
  • 厚生労働省,e-ヘルスネット健康用語辞典,「身体活動・運動,レジスタンス運動

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