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トレーニング&ケア

2022.11.16

理学療法士が解説!パーキンソン病ってどんな病気?症状と進行予防

こんにちは。スリーウエルネス理学療法士の原田です。

みなさん、パーキンソン病という病気を聞いたことはありますか?高齢化に伴い、患者が増えてきている病気のひとつです。有名人だとボクシングの元世界チャンピョンのモハメド・アリやハリウッドスターのマイケル・J・フォックス、日本だとみのもんたさんや、芸術家の岡本太郎さんもこの病を患っています。今回のブログでは、パーキンソン病の症状や病態、運動療法についてお話したいと思います。

パーキンソン病ってどんな病気?

私たちが身体を動かそうとすると脳から運動の指令が出て、全身の筋肉に「動きなさい」と伝えられます。この時、身体が意図的に動くように調整をしているのが「ドーパミン」という物質です。何らかの原因で、ドーパミンを作る脳の黒質のドーパミン神経細胞が減少し、十分にドーパミンが供給されなくなると、脳からの指令が筋肉に伝わりにくくなり、心身に様々な症状が現れます。これが「パーキンソン病」です。

日本での有病率は100~180人/万人とされていますが、加齢も発症に関係しているため、今後、日本での患者数の増加も予想されます。65歳以上の有病率は1人/100人とされ、神経変性疾患の中で認知症に次ぎ、今や日本の高齢者にとって珍しくない、一般的な病気になりつつあります。

パーキンソン病自体は進行性の疾患です。一旦発症すると、完治は現代の医療では難しいため、「指定難病」に位置付けられています。しかし、適切な治療を行えば、通常発症後10年程度は普通の生活が可能であると言われています。それ以後の進行は個人差があり、介助が必要になることもあります。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病は様々な症状が現れますが、「安静時振戦(あんせいじしんせん)」、「筋固縮(きんこしゅく)」、「無動・寡動(かどう)」、「姿勢反射障害」の4つの運動機能障害がパーキンソン病の4大徴候と呼ばれています。運動機能障害以外にも自律神経症状、精神症状、睡眠障害など、多様な症状や障害が現れます。難しい名前の症状がたくさん出てきましたが、4大徴候を一つずつ見ていきましょう。

安静時振戦

振戦とは「震え」のことです。安静時振戦とは、じっとしている際に出てくる震えということ。身体を動かしているときには震えが消えるのが特徴です。初期は身体の左右どちらかに震えが出てきますが、進行すると反対側にも震えの症状が現れます。 振戦では手足の震えの他に、親指と他の指でこすり合わせるような動きがみられることがあり、このような振戦を薬を丸める仕草に例えて、ピル・ローリング振戦と呼ばれています。

筋固縮

筋肉の緊張が強くなり、筋肉が硬くなる症状を筋固縮(筋固縮)と言います。筋固縮が進むと、身体がこわばり、時に痛みを呈したり、肩・腕・膝などの関節の曲げ伸ばしは思うようにできなくなります。関節を他者が曲げ伸ばしをすると抵抗を感じ、ギコギコとまるで歯車のように感じることがあり、これを歯車様固縮(はぐるまようこしゅく)現象といい、これもパーキンソン病の特徴的な症状のひとつです。 関節だけではなく、顔の表情に関わる頬筋(ほほの筋肉)もこわばることで、表情が乏しく、無愛想に見えてしまう、仮面様顔貌(かめんようがんぼう)がみられるのも特徴です。しかし、仮面様顔貌は筋固縮だけが原因ではなく、パーキンソン病によって精神機能が低下し、抑うつや気力の低下が生じることによっても見られます。

無動・寡動

動作が遅くなる、動きが無くなる症状を無動(むどう)・寡動(かどう)と言います。筋固縮も動作が遅くなる原因となりますが、それとは別の症状と考えられています。素早い動作ができなくなり、歩き出そうとしても、足がなかなか出ず、ゆっくりとしか歩き出せなくなります(すくみ足)。日常生活でも更衣動作や寝返りなどに支障が出てきてしまいます。無動・寡動の影響での小刻み歩行もその特徴です。

姿勢反射障害

パーキンソン病が進行すると、身体が傾いた時に姿勢を立て直すことが難しくなります。このため、方向転換が苦手になったり、転びやすくなります。重度になると、受け身を取ることなく転倒してしまうため、大きな外傷に繋がることもあります。

その他の運動機能障害

四大徴候の他にも、姿勢の異常(前傾姿勢になる)、歩行障害など様々な運動機能障害が現れることもあります。

歩行障害では、発症初期には小刻み歩行やすり足歩行、中期以降には加速歩行(突進現象)などが現われ、徐々に長距離の歩行が困難になってきます。姿勢反射障害やすくみ足などによる転倒には注意が必要です。転倒をきっかけに寝たきりになってしまうケースもあります。

非運動症状

パーキンソン病の非運動症状も多岐にわたります。

  • 睡眠障害
  • 精神・認知・行動障害
  • 自律神経障害
  • 感覚障害

非運動症状は本人からの訴えが少ないため、適切な症状の把握を周囲の人が心がけることが必要です。非運動症状の一部は病気そのものではなく、パーキンソン治療薬の投与に関連して引き起こされ、悪化することがある点にも十分な注意が必要です。非運動症状が強く表れた場合は、早めに掛かりつけ医に相談しましょう!

非運動症状は運動症状の重症度とは独立してQOL(生活の質)の低下を来します。非運動症状の治療に関しても徐々にエビデンスが蓄積されていますが、未だに十分とは言えないようです。

パーキンソン病と運動

パーキンソン病には運動の有効性が認められており、「パーキンソン治療ガイドライン2018」では運動療法が身体機能、QOL、筋力、バランス、歩行速度の改善に有効であることが示されています。また、少数ではありますが、運動で患者の血清中の脳由来神経栄養因子が優位に上昇する=パーキンソン病の原因が改善されることも報告されています。 パーキンソン病の運動療法には、関節可動域訓練、筋力増強訓練、ストレッチ、バランス訓練、歩行訓練など多岐にわたります。それらに加えて、リズム音刺激による歩行訓練は練習効果が高いとされています。

日常生活のちょっとした工夫で安全にすごそう!

パーキンソン病では様々な歩行障害が日常生活に影響を与えます。しかし、少し工夫をすれば歩きやすくなったり、転倒を防ぐこともできます。

小刻み歩行やすり足歩行の症状がある方は、普段から「1、2、1、2」とリズムを刻みながら歩いたり、腕を大きく振り、足を大きく持ち上げるように心がけましょう。

家の中でも突然足が出にくくなることがあるので、家の中の良く歩く導線(ベッドからトイレなど)に歩幅の間隔でテープを貼るなど目印をつけて、これをまたぐように歩くことも効果的と言われています。

実際、私が以前受け持った方でも、こちらが「1、2、1、2」と声掛けをしたり、歩行訓練の際に、床にテープで目印を貼ると、すくんでいた足が出やすくなっていましたよ。

スリーウエルネスでできること

スリーウエルネスでは病気をお持ちの方、健康に不安がある方などに対し、運動とケアで健康を取り戻すお手伝いをします。理学療法士の国家資格を持ったトレーナーがお客様のトレーニングに対応。また、看護師も常駐しているので、健康の悩みや困りごとなど、なんでもお気軽に相談いただけます。

パーキンソン病で非運動症状が出ると、本人が不調や辛さを訴え出るのが難しくなることもあります。周囲にいる家族や友人が変化に気づき、早めに対処することでパーキンソン病の病状の進行も変わります。パーキンソン病を患っているご本人やそのご家族・ご友人など、お困りごとがありましたら、お気軽に相談ください!

スリーウエルネス理学療法士 原田

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