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トレーニング&ケア

2023.02.17

寝たきりを防ごう!理学療法士が解説!!高齢者に多い脊椎圧迫骨折の原因と予防

こんにちは。スリーウエルネス理学療法士の原田です。
立春は過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きますね。この寒い冬、実は一年の内で高齢者の「骨折」が多い季節でもあります。

厚生労働省によれば、2025年に団塊の世代が75歳に達すると、後期高齢者は約2,180万人に増大し、全人口の約18%を占めるようになるとのことです。前期高齢者(65歳~74歳までの高齢者)も含めると高齢者数は3,600万人以上になり、全人口の約3割が高齢者という、かつてないほどの「超高齢化社会」に突入します。

それに伴い、加齢とともに増加する骨粗鬆症の有病者数は現在1,300万人ともいわれ、骨粗鬆症が原因で骨折となり、これが元で、骨折し寝たきりになってしまう高齢者がさらに増えることも予想されます。 今回は、そんな高齢者の骨折のうち、腰痛の原因や寝たきりの原因になりうる「脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)」についてご紹介します。

高齢者が骨折しやすいのはどこ?

そもそも高齢者に多い骨折はいくつかあります。

  • 大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折:太ももの付け根の骨折
  • 脊椎圧迫(せきついあっぱく)骨折:背骨の骨折
  • 上腕骨頸部(じょうわんこつけいぶ)骨折:腕の付け根の骨折
  • 橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折:手首の骨折

これらの4つが高齢者によくみられる骨折です。腕の骨折に関しては、日常生活に不便は発生するものの、生活が成り立たなくなるようなことは起きづらいですが、大腿骨の骨折と脊椎の圧迫骨折に関しては、生活や移動に大きな支障をきたします。

なぜ冬場に骨折が多いの?

圧迫骨折の話題に移る前に、そもそもなぜ冬場に骨折する人が増えるのでしょうか?2つの要因が骨折の原因と考えられます。

身体的な要因

寒くなると外出の機会が減り、運動不足になりがち。身体を動かさないことで、筋肉も硬く、身体を動かしづらくなります。また、防寒のため厚着をすると、身体を動かしづらくなったり、靴下で足元が滑ったりすることも転倒につながります。

環境的な要因

冬は路面の凍結や積雪によって滑りやすくなります。室内でも毛足の長い絨毯やラグ、こたつの布団や電気ストーブのコードなど、転倒リスクを高めるものが足元に多くあり、転倒する人が多くなります。

高齢者に限らず、冬場は転倒のリスクが高いということですね。

脊椎圧迫骨折ってどんな骨折?

私たちの背骨は小さな椎体(ついたい)という骨が連結して構成されています。その椎体に外部から強い圧力が加わることで起きるのが脊椎圧迫骨折です。「骨折」と聞くと文字通り、骨がぽっきりと折れることを想像する方が多いと思いますが、圧迫骨折は骨が押しつぶされた状態のこと。尻もちをついたり、不用意に重い物を持ったりすることで起こります。年を重ね、骨粗しょう症が進むと、普段の生活動作の中でも起こることがあり、咳やくしゃみの衝撃で骨折することもあります。

下部胸椎(胸の下の辺りの背骨)から上部腰椎(腰の上の辺りの背骨)に起こりやすい骨折です。胸椎が圧迫骨折を起こせば胸椎圧迫骨折、腰椎で起こせば腰椎圧迫骨折と呼ばれます。

圧迫骨折の症状

脊椎圧迫骨折が起きた直後は骨折した部位を中心に痛みが出ます。特に寝返りや起床時起き上がりの動作を行うときなどに、強い痛みがあるため、日常生活の動作が非常に困難になります。また、骨折が治った後も背骨が変形し、曲がったままになってしまうことがあり、そのゆがんだ姿勢が影響してさらなる腰痛を招くことがあります。 骨折の状態によっては、しびれや麻痺などの神経症状が見られる場合もあり、日常生活にも大きな支障をきたす危険性があります。

圧迫骨折の原因

■骨粗しょう症
圧迫骨折は転倒や事故などの明らかな外傷がなくても起こりうる骨折です。その最も大きな原因は骨粗しょう症です。骨密度が低いと軽い尻もちやくしゃみなどの小さな衝撃で発症してしまうこともあるのです。
通常、古くなった骨は破骨(はこつ)細胞に吸収され、血中にカルシウムとして溶け出ます。その後、骨芽(こつが)細胞により新しい骨が作られるというサイクルを繰り返し、頑丈な状態を保っています。しかし、加齢によりその機能がうまく働かなくなると、骨がもろくなり、骨粗しょう症となってしまいます。

特に女性の場合は閉経によってホルモンの分泌が悪くなるため、骨の吸収と新しい骨が作られるバランスも崩れやすくなります。そのため、閉経以降の女性ほど骨粗しょう症になりやすく、骨折のリスクが高まります。

■筋力・バランス機能の低下
60歳を過ぎると筋力や身体機能が徐々に低下し、バランスを崩しやすくなります。特に太ももを持ち上げる腸腰筋(ちょうようきん)の筋肉量の減少により、思った通りに足が上がらずにつまずいてしまったり、階段を踏み外したりしてしまうことがあり、転倒・骨折につながります。加齢による視力の低下も転倒原因の一つです。

■病気や薬の影響
高齢者は複数の薬を飲むことも多く、薬によってはふらつきや立ちくらみなどの副作用が現れるものもあります。定期的に薬の種類と量を主治医に相談しましょう。

圧迫骨折の治療

圧迫骨折に対する治療の基本は、骨折部位の安定性を図り安静にすること。安定性を図るために、内固定または外固定のいずれかが必要となります。内固定は手術により器具を用いて脊椎を固定すること。外固定はギプス固定やコルセット療法が中心です。

しかし安静が必要だからと、長期間ベッドや布団で寝たまま過ごすと、そのまま筋肉が衰え、寝たきりへ一直線ということもあり得ます。近年では、寝たきりを防ぐため、また椎体の変形を防ぐためにも、しっかりと脊椎を固定したうえで早期に離床し動くことも大切だと言われています。 コルセットの着用やギブスでの固定は3~4ヶ月必要です。その間、不自由な生活が待っていると思うと怖いですよね。

脊椎圧迫骨折を予防しよう!

高齢になっても骨を丈夫に保ち、骨折を予防するためには、若いころから骨を強くしておく必要があります。すでに若くないという方も、食生活や運動習慣を整えることは、骨粗鬆症や骨折の予防には非常に有効ですよ。

食事

骨を強くする食事の基本は骨を作るためのカルシウムを多く含んだ食品を摂ることです。牛乳、チ-ズ、ヨ-グルトなどの乳製品にはカルシウムが豊富に含まれ、吸収率も優れています。その他に干物類(干魚、ひじき、切干し大根など)、小魚や緑黄色野菜、豆腐などにもカルシウムが多く含まれていますので、これらの食品を3度の食事に取り入れて食べるようにしましょう。

以前配信したこちらのブログにも、骨の基本知識や骨強化のための食事などを紹介しています。ぜひ、参考にしてくださいね!

運動

運動と聞くと、「難しそう、疲れそう」と敬遠しがちな高齢の方も多いのではないでしょうか?そんな方は、散歩から始めてみませんか?カルシウムの吸収を助けるビタミンDは紫外線を浴びることで活性化されます。散歩で日光(紫外線)を浴びることはビタミンDを活性化させ、カルシウムの吸収を促進させますよ。

また、転倒がきっかけとなりやすい、圧迫骨折。そもそもの筋力がなければ、バランスも崩しやすく、転倒に繋がってしまいます。散歩に慣れてきたら、次は大きな筋肉を鍛えることで、転倒予防をしましょう。 運動に慣れない方は手すりを持ったり、家族の見守りがある中で行ってください。

脚のトレーニングだけでなく、呼吸エクササイズで体幹の筋肉をきたえることで、バランスを崩しにくくなります。 寝た状態でも可能ですので、おススメです!ぜひ、やってみましょう。

まとめ

圧迫骨折は骨粗鬆症が原因となることも多いですが、運動で転倒予防や骨の活性化を行うことで予防も可能です。

運動が苦手な方や何からやればよいのか分からないという方も、スリーウエルネスでは理学療法士の資格を持ったトレーナーがお客様のトレーニングにマンツーマンで対応。また、看護師も常駐しているので、健康の悩みや困りごとなど、なんでもお気軽に相談いただけます。

骨粗しょう症の有無にかかわらず、スリーウエルネスでは全てのお客様の健康増進のためにトレーニングやケアを行っています。痛みに悩んでいる方、何から始めていいか迷っている方、スリーウエルネスで運動やケアを始めてみませんか?

スリーウエルネス理学療法士 原田

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