健康に欠かせない栄養バランス 五大栄養素のはたらきと摂取のポイント
こんにちは、スリーウエルネス健康運動指導士の尾嶋です。
今年の梅雨は記録的に短く、すでに夏本番の天気が続いています。暑くなると食欲が落ちやすくなりますが、皆さん食事は摂れていますか?
以前のブログ「あなたの基礎代謝量は?自分に合ったエネルギーバランスを知ろう!健康のための栄養基礎知識」では、自分の基礎代謝量やエネルギー所要量の求めかた、また、エネルギー所要量から理想的な炭水化物・脂質・タンパク質バランスの計算方法などをお話しました。
今回のブログでは運動はもちろん、生きていくために欠かせない、三大栄養素と、それにビタミンとミネラルを加えた五大栄養素のはたらきと摂取のポイントを詳しく解説します。
五大栄養素と役割
私たち人が生きていくためには、三大栄養素と言われる「糖質」、「脂質」、「タンパク質」に「ビタミン」、「ミネラル」を加えた『5大栄養素』が必要不可欠です。
5大栄養素が人の身体に欠かせないのは、3つの大切な役割があるから。1つ目は身体を動かすこと、2つ目は身体を作ること、3つ目は身体の調子を整えることです。 前回のブログでは主に、1つ目の「身体を動かすこと」について、三大栄養素である糖質、脂質、タンパク質のエネルギー源としての側面から話をしましたが、今回は2つ目、3つ目の身体を作ること、身体の調子を整えることという側面から五大栄養素の働きと摂取のポイントを見てみましょう。
各栄養素のはたらきをみてみよう
糖質
糖質は、ブトウ糖という形で血液の中を流れ身体の隅々にいきわたり、体や脳のエネルギー源になります。タンパク質、脂質もエネルギー源として利用されますが、すぐに利用できる状態になっているのが血液中を流れる糖質、すなわちブドウ糖です。
しかし、食事で摂取した糖質が全て血中に溶け出し、直接エネルギーに利用される訳ではありません。消化・吸収された糖質はブドウ糖となり、一部は筋肉や肝臓にグリコーゲンという形に変換され貯蔵されます。血中のブドウ糖の濃度(血糖値)が下がると、筋肉や肝臓に貯蔵されたグリコーゲンが、ブドウ糖に再合成され、エネルギー源として利用されます。このことから、筋肉や肝臓に貯蔵されたグリコーゲンの量により、体力に差が出ると言われています。
最近「糖質を抜く」ダイエットを行っている方、多いのではないでしょうか?糖質の摂取をやめると、確かに一時的に体重は減ります。しかし、先ほど説明した通り、糖質は筋肉中にも蓄えられます。糖質が不足すると、筋肉を分解しエネルギーとして使用してしまいますので、結果、多くのエネルギーを使用する筋肉が減り、リバウンドしやすい体質へと変わってしまいます。また、糖質は脳を働かせる唯一の栄養素です。そのため、糖質が不足すると、疲れやすくなるだけでなく、判断力が鈍り、注意力が散漫になってきます。
健康的に痩せるためには、糖質も適量摂りながら、運動するのが一番の近道ですよ!
脂質
脂質は、糖質、タンパク質と同じく身体を動かすエネルギー源になります。脂質の適正なエネルギー比率は、25~30%です。これは、厚生労働省が生活習慣病の予防を目的として示している値です。
エネルギー源としてのはたらきだけでなく、皮膚の下にある皮下脂肪は、内臓の健康や体温調整、血圧を維持するはたらき以外にも、細胞膜や神経組織、ホルモンなどの構成成分になります。
脂質と聞くと「健康に悪そう」、「太りそう」などの、どちらかというとマイナスイメージがありますが、身体にとっては必要不可欠な栄養素の一つ。過剰に摂取すると健康を害することもありますが、適正量を摂取することが大切ですよ。
タンパク質
タンパク質も糖質、脂質同様、エネルギー源としてのはたらきがあります。また、筋肉や内臓、骨など身体を構成するために欠かせない極めて重要な栄養素です。所要量は一般の人(日本)の場合、体重1kg当たり約1g/日と言われています。覚えやすいですね。
身体を作る以外にも、タンパク質には、血液中のヘモグロビンの合成をサポートする、感染症などの病気から身体を守る免疫細胞の材料になる、筋肉を動かす神経伝達物質を構成するなど、生きていくうえで重要なはたらきが多くあります。
ビタミン
ビタミンは直接エネルギー源や身体の構成成分にはなりませんが、身体を健康に保つための生理機能を維持したり、エネルギーや身体を作るための代謝を助けるなど、身体の中でいわゆる潤滑油のようなはたらきをしています。また、ビタミンは体内では合成されないものがほとんどで、食事から摂る必要があります。必要な量はごくわずかですが、不足した場合は特有の欠乏症を起こします。
ビタミンには水溶性と脂溶性の2種類があります。水溶性ビタミンは文字通り水に溶けやすく、過剰に摂取しても、尿から排泄されますが、脂溶性ビタミンは摂りすぎると肝臓などに蓄積し、過剰症に陥ることがあるので注意する必用があります。逆に、脂溶性ビタミンは体内で貯留できますが水溶性ビタミンはできないので、こまめに摂取する必要があります。
もちろん、偏った食事や無理なダイエット、加齢に伴う食生活の変化などでビタミンが不足してしまう場合もあるので注意が必要ですよ。
各ビタミンのはたらきや多く含む食品、摂取のポイントを以下の通りです。
ミネラル
ミネラルとは、体の95%を構成する主となる元素(酸素・炭素・水素・窒素)以外の元素の総称です。無機質とよばれることもあります。
ミネラルの重要な働きとして、一つ目に身体の構成成分なることが挙げられます。カルシウム・マグネシウム・リンなどは骨や歯をつくり、鉄・リンはたんぱく質や脂質と結びついて体成分となります。また、鉄は血液の構成成分にもなりますね。次に、ミネラルのもう一つの重要な働きは、身体の生理作用の調整です。ナトリウム・マグネシウム・塩素などは筋肉の収縮や神経伝達に関わります。また、マグネシウム・亜鉛・ヨウ素などは代謝の調整に関わっています。運動中に多量の汗をかくと、脚がつりやすくなるのは、水分と共に汗から多くのミネラルが失われるからですよ。
主要なミネラルのはたらきや多く含む食品、摂取のポイントは以下の通りです。
体液に含まれるミネラルは、いつも一定に保たれていますが、食事からの摂取量の過不足が続くと過剰症や欠乏症が現れます。 ミネラルも体内では作られないので、食品から摂取する必要があります。ビタミンと同様に、ミネラルが不足すると体の不調や病気を引き起こしますし、過剰にとりすぎるのも中毒を起こしたり、不調の原因になります。何事にも適量が大切ですね。
まとめ
今回は五大栄養素とそのはたらきにスポットを当てて解説しました。現代人は毎日忙しく、ゆっくり食事をとる時間や料理をする時間が取れない方も多いと思いますが、食事で摂取する栄養素はどれも身体にとって欠かせないものばかりです。全体の栄養を考えてバランスの良い食事を心がけることと聞くと、なんだか難しく思えますが、押さえるべきポイントは3つです。
1.1日3食決まった時間に食べる。
2.主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を摂る。
3.適量を食べる
まずは、ご自身にとって最適な食事の量を把握すること、今の食事の内容と比べて、「なにを」「どれくらい」食べるべきかを知ることで、毎日の食事を見直し、バランスのとれた食事を実践しましょう。
スリーウエルネス健康運動指導士 尾嶋