1. ホーム
  2. ブログ
  3. スポーツ選手だけじゃない!?日常生活でも起こりうる「アキレス腱断裂」

トレーニング&ケア

2024.11.11

スポーツ選手だけじゃない!?日常生活でも起こりうる「アキレス腱断裂」

こんにちは。スリーウエルネスの理学療法士、原田です。

朝晩が涼しくなり、スポーツを始めやすい季節になってきました。今日は、スポーツ外傷で起こりやすいアキレス腱断裂のお話をしようと思います。みなさん、アキレス腱はどの部位かご存知ですか?体育の時間や部活動などで、アキレス腱のストレッチを一度は行ったことがあるのではないでしょうか?そう、足首の後ろの部分にある腱です。こんな頑丈そうな腱が断裂、つまり、切れてしまうことがあるのです。

私は中学生から社会人までバドミントンを行っていましたが、社会人になり、ミックスダブルスで出場していた際、コート内でペアの方が倒れこんでいた…ということがありました。そう、アキレス腱を断裂していたのです。スポーツをしていて痛めしまうイメージがあると思いますが、日常生活でも起こりうる可能性がある「アキレス腱断裂」。

今日は、アキレス腱断裂がどのように起こり、どのように治っていくのかというお話をしていきたいと思います。

アキレス腱とは?

アキレス腱とは腓腹筋とヒラメ筋の共同腱であり、人類最大の腱です。人類最大の腱でありながら、断裂することが他の腱と比較しても多い健でもあります。

アキレス腱断裂の疫学

人工10万人あたり、年間6~41人の発生が報告されています。アキレス腱断裂の好発年齢は30~40歳代であるが、10代の若年層スポーツ選手に生じることもあれば、70歳以上の高齢者が日常生活の中で受傷してしまうこともあります。これは、40歳を過ぎてくると、坂道で踏ん張ったり、階段を踏み外したりと突発的な外力が加わり、スポーツ以外で受傷することが増えてきます。これは、アキレス腱自体の組織の変化が影響しています。どのような変化というと、退行変性です。退行変性とは組織が固くなり、正常な組織とは異なる性質を持ってしまうことです。ガイドラインによるとアキレス腱断裂になると場合は腱の変性が基盤にあると述べられています。

そもそも、アキレス腱はふくらはぎにある腓腹筋とヒラメ筋の2つの筋肉からなり、ジャンプやダッシュ、踏ん張る時など組織で蹴りだすような力を発揮する動きに関わっています。アキレス腱の変性が起こると、組織が硬くなって柔軟性が低下してしまうため、急な負荷が加わったときに対応できず、受傷してしまいます。

アキレス腱を断裂したときは、ブチっと音がして「後ろから誰かに蹴られた」と言ってしまうような衝撃があります。また、アキレス腱を見てみるとボコッと凹んでいる(陥没)ことがわかります。他の筋肉が代わりに働いて歩行可能な場合もありますが、つま先立ちはできなくなります。

【好発スポーツ】

バスケットボール、バレーボール、サッカー、テニス、体操などの競技ですが、バドミントンや剣道も比較的多く、ダッシュやジャンプといったスポーツの基本動作で生じることから、ほぼ全てのスポーツ活動で起こりうる外傷です。国や地域によって競技人口のばらつきがあるものの、球技やラケット競技においてアキレス腱の断裂の発生が多いようです。

アキレス腱が痛い場合は前兆の場合もあるので要注意!?

アキレス腱断裂になる前兆として、受傷する2~3週間前にアキレス腱の部分に痛みを訴えることがあります。これは、繰り返される負荷によってアキレス腱が炎症を起こし、中にはアキレス腱自体が小さな損傷(微細損傷)が起きている場合が考えられます。そこで無理をして運動を続けてしまうと、アキレス腱断裂を招いてしまう恐れがあるのです。

アキレス腱の治療₋保存療法or手術療法

アキレス腱断裂の治療はギプスや装具を用いる保存療法と腱縫合療法のどちらかが選択されます。今回は手術後のリハビリについて解説します。

アキレス腱の修復には時間がかかり、最初の3週間は腱の収縮は不十分で強度は弱く、少しの外力で再断裂を起こしてしまいます。その後、6週間程度で少しずつ修復され、数か月から数年かけて強度を取り戻していくのです。そのため、特に手術後の固定期間、無理は禁物で、患部の安静が必要となります。この時期、患部は安静に保ち、患部以外のトレーニングを行います。

リハビリについて

ガイドラインによると、ギプス固定から装具固定に変更し、早期に歩行や可動域訓練を行う早期運動療法が可動域制限や筋力低下の予防、日常生活の復帰も早く行えたと述べられています。固定期間は施設によって異なることもありますが、2~3週間程度が多いようです。その後、アキレス腱断裂専用の装具を履いてリハビリを進めます。

◎足首の可動性の獲得

足首の可動性は歩行や階段、しゃがみ込みなど日常生活を過ごすうえでとても重要です。無理に曲げようとするとアキレス腱に過度の負荷がかかるため、自分の力で動かせる範囲から動かしていきます。

◎ふくらはぎの筋力強化

アキレス腱断裂で一番筋力低下してしまうのはふくらはぎの筋力です。術後すぐのリハビリでは、まずは負荷をかけず、寝たまま足首を動かしたり、座って動かしたりしていきましょう。その後、負荷の弱いゴムチューブを使用し、徐々に強度を上げていくのがよいでしょう。立った状態でのカーフレイズ(つま先立ち)はふくらはぎの筋力強化には効果的ですが、術後のアキレス腱には負荷が強すぎるため、最初は座って開始し、装具が取れたら、立った状態で行っていきましょう。

アキレス腱断裂専用の装具は踵の部分でパッドを入れ、ハイヒールの用につま先で歩くような姿勢になります。この姿勢で歩く方がアキレス腱にかかる負担が少なくなります、足首の可動性や腱の修復に合わせて、徐々に足首が直角になるようにパッドを外していきます。手術をしてから約4~5週間でパッドを全て外し、歩行時の足首を直角にしていきます。手術をしてから、8週間程度で杖を外しての歩行へ進めます。

アキレス腱の修復には時間がかかります。そのため、この時期は再断裂に気を付けて可動域や筋力の回復に急がないことが重要になってきます。

スポーツ復帰は長期化する場合も!

通常の歩行は手術後2~3ヶ月で獲得できますが、スポーツ復帰になるともう少し時間が必要になります。

アキレス腱断裂はスポーツ活動中に多いことから、いつ頃できるのだろうと不安な方も多いと思います。保存療法では手術療法よりさらに時間が必要とされており、スポーツ復帰を目指す方は手術を選ばれることが多いです。片足でのカーフレイズが安定して行えるようになった時点でジョギングへと進めその後、ジャンプ動作やスポーツ動作の練習を行っていきます。

筋力が回復していない状態で負荷を強くしていくと再断裂を起こしてしまうこともあるので、痛みがないからといって無理をしないようにしましょう。

スリーウエルネスの筋膜リリース

スリーウエルネスでは、「ファシアスリックテクニック」という筋膜リリースを行っています。慢性的なアキレス腱の痛みや足首の柔軟性アップなどの効果が期待できます。今、アキレス腱の痛みで悩まれている方は一度、スリーウエルネスへご相談ください。体験施術も行っているので、お気軽にお問い合わせください。

【参考文献】

アキレス腱断裂診療ガイドライン2019(改訂版)

足関節・足部機能障害理学療法ガイドライン

関連記事

一覧へ戻る
ページのトップへ