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トレーニング&ケア

2021.10.27

アスリートに多い股関節痛!グロインペイン症候群とは?

こんにちは。スリーウエルネス柔道整復師の大塚です。
アスリートの抱える痛みやケガについて、過去にいつくか解説と予防についてお話しましたが、今回は「股関節」です。

アスリートが訴える股関節の痛み、もしかするとそれは「グロインペイン症候群」と呼ばれる病態かもしれません。股関節は、どのスポーツにおいても重要な役割を果たしており、負担のかかりやすい部位です。今回はグロインペイン症候群について詳しく解説していきます。

股関節とは?

グロインペイン症候群についてお話する前に、股関節の構造と役割を見てみましょう。

股関節は脚の付け根にある関節で、胴体と脚の間にあります。股関節は大腿骨の丸い頭の部分(大腿骨頭)が骨盤の受け皿の部分(寛骨臼)にはまり込む構造をしていて、球関節といわれます。

股関節で大腿骨と骨盤骨が擦れ合う部分は表面が軟骨で覆われており、この軟骨により股関節にかかる力を吸収するとともに大腿骨頭と寛骨臼の動きをスムーズにしています。

股関節は、人が立ったり歩いたりするときに体重を支える役割をになっており、歩行時には体重のおよそ3倍、立ち上がりでは体重の6~7倍、さらに床からや低い位置からの立ち上がりでは、10倍の重さがかかるといわれています。

グロインペイン症候群

グロインペイン症候群とは、「鼠径部痛症候群(そけいぶつうしょうこうぐん)」とも呼ばれ、股関節、鼠径部の痛みを主症状とする病態を総称していいます。 スポーツをよくする人に発症し、症状としては、ランニング、ダッシュ、キック動作などの際に、股関節や鼠径部に痛みが生じ、重症の場合は競技を続けることが困難になります。

グロイン(groin)は鼠径部、ペイン(pain)は痛み、症候群(symdrome)はさまざまな症状を呈する病態の総称という意味があります。症候群という言葉は、はっきりとした原因が不明で、同じような症状がみられる場合に使われるため、グロインペイン症候群は原因が特定できないことがほとんどです。つまり、病院で検査を受けても画像や血液検査などからも明確な病態が特定されにくいという特徴があります。

グロインペイン症候群に似た症状を呈する病態

グロインペイン症候群には、他にも似たような症状を起こす病態がいくつか存在します。これらはグロインペイン症候群として扱われることも少なくありません。主な病態についてみていきましょう。

●恥骨結合炎
恥骨とは骨盤の下部にある骨で、左右の恥骨が軟骨によって結合している部分を恥骨結合といいます。恥骨結合には、股関節の内側にある内転筋や腹筋が付着しています。恥骨結合炎は、これらの筋肉の使い過ぎや、柔軟性低下によって恥骨結合に炎症を起こす病態です。

●内転筋周囲炎
内転筋とは、骨盤から大腿骨の内側に付着している筋肉です。内転筋周囲炎は、この筋肉に過剰な負担がかかったり、無理に伸ばされたりして炎症を起こす病態をいいます。

●腸腰筋腱周囲炎
腸腰筋とは、腰椎と骨盤から大腿骨に付着している筋肉です。股関節を曲げる働きがあり、サッカーのキック動作に重要な役割を果たしています。この腸腰筋が、オーバーユースや過剰な伸張によって損傷をしてしまうのが腸腰筋周囲炎です。

●鼠径ヘルニア
本来、お腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径部の筋膜の間から外に出てしまう病態を鼠径ヘルニアといいます。別名スポーツヘルニア、脱腸ともいい、鼠径部にこぶのような膨隆がみられるのが特徴です。

グロインペイン症候群のリハビリ方針

グロインペイン症候群によって痛みがある場合は、痛みが引くまで患部を安静にし、競技を休むようにしましょう。ほとんどの原因が股関節周囲にある筋肉への過負荷が原因であるため、負担をかけ続けると悪化してしまうので注意が必要です。

痛みが落ち着いてきたら、リハビリで股関節に負担のかからない動作を習得して、再発を予防していきます。グロインペイン症候群になってしまう原因は、個人によってさまざまですが、予防するためには背骨と股関節の協調性を高めることが重要になります。 例えばサッカーのキック動作をみてみましょう。

上の写真のようにボールを右脚で蹴る際は、右脚を大きく後方へ振りかぶり、体を左に捻り、左腕や肩甲骨も後ろに引くような姿勢をとります。

そしてボールを蹴る際は、後ろに捻っていた右脚と左腕が近づくような動きとなります。

これは、蹴る脚と反対側の上半身を後ろに捻ることによって、体をしならせてパワーを生み出す「クロスモーション」という動きです。このように上半身と下半身が協調して、しなやかに使えることが重要になります。しかし、上半身や股関節の柔軟性が低下していたり、体幹が安定していなかったりすると協調性が失われてしまい、ボールを蹴る際に股関節に強い力が要求されます。これが股関節にある筋肉のオーバーユースに繋がり、グロインペイン症候群のような病態を引き起こしてしまうのです。

つまり、グロインペイン症候群を予防するためには、背骨・股関節の柔軟性、上半身と下半身の協調性が重要なのです。

グロインペイン症候群を予防するエクササイズ

ではグロインペイン症候群を予防するための具体的なエクササイズを紹介していきます。

●腸腰筋ストレッチ

伸ばす方の脚を後方に引いて、膝立ち姿勢をとります。胸を張って、上半身を前に倒して、股関節の前面が伸ばされていることを感じながら20~30秒ゆっくりとストレッチします。 反対側も同様に行いましょう。

●内転筋ストレッチ

両脚を開脚して座ります。ゆっくりと上半身を前に倒していき、股関節の内側が伸ばされていることを感じながら、20~30秒ゆっくりとストレッチしていきます。

●背骨ストレッチ

椅子に座り、両手を頭の上に組みます。大きく息を吸って胸を張って、肘を開きます。背骨が伸びていることを感じ、10秒姿勢をキープします。

次に、体を左に傾け、左のわき腹が伸びていることを感じ、姿勢を10秒キープします。反対側も同じように行います。

●四つ這いからのクロスモーションエクササイズ

四つ這い姿勢から、左手、右脚を真っ直ぐと伸ばします。

次に、その伸ばした手足の膝と肘をくっつけるように、近づけます。
体がぐらつかないようにこの動作を繰り返します。 左右逆にして同じように行います。

●立位でのクロスモーションエクササイズ

立った姿勢から、左手を上に挙げ、右脚を後方に引きます。
後ろに引いた反動を使って、実際にキックするように前にスイングを繰り返します。 左右逆にして同じように行います。

まとめ

今回はグロインペイン症候群についての概要と、予防エクササイズについて紹介してきました。グロインペイン症候群はまだ、診断や治療法が確立されていない病態なのですが、予防には上半身と下半身の協調性が重要になります。特にサッカーをしている人に多い病態ですが、動作の癖や、体の特徴は個人個人によってさまざまです。必要であれば理学療法士やトレーナーなどに体のチェックを受けて適切な対策をとっていくようにしましょう。

スリーウエルネス 大塚

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