1. ホーム
  2. ブログ
  3. 理学療法士が解説するラジオ体操 ~腰痛・便秘予防編~

トレーニング&ケア

2021.08.04

理学療法士が解説するラジオ体操 ~腰痛・便秘予防編~

こんにちは。スリーウエルネスの理学療法士、末廣です。
暑い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか?

デスクワークが多いお仕事の方は腰痛でお悩みの方がとても多いですね。外出自粛やリモートワークなど生活様式の変化によって腰痛が生じた方もいらっしゃると思いますが、コロナ禍以前から痛みの自覚症状の中で、腰痛は男性で1位、女性では2位と悩まれる方がとても多い症状です(厚生労働省の国民生活基礎調査(2019)より)。スリーウエルネスのブログには「腰痛の原因と予防(前編)」「腰痛の原因と予防(後編)」「介護予防」について紹介しているものもあります。そちらもぜひ参考にしてください。

腰痛の原因は様々ですが、日々の姿勢の悪さが腰痛の原因になることもあります。姿勢に影響のある背骨は小さな骨と骨のつながりでできており、それぞれの間に椎間板というクッションの役割をしている組織があります。また、背骨には全身の機能をコントロールする重要な神経が通っています。椎間板のクッションの働きが弱くなったり、圧迫が強くなることで、十分な背骨の機能を保つことができなくなり、進行すると神経を圧迫するなど、重大な症状が出現することも考えられます。
今回はラジオ体操第1の中から、背骨の間の可動範囲を保つために効果的な運動を4つご紹介します。また、これらの運動は胴体がしっかり動くことになるので便秘予防にも効果的です。

5番目:「体を横に曲げる運動」

狙い  体を横に曲げ、背骨を柔軟に保つ

足は開脚姿勢

体の横の筋肉を伸ばす
体を起こす

運動のポイント
下半身を固定、前かがみにならないように腕を真横から上げます。1回ずつきちんと体を起こしてから体を横に倒します。 体はなるべく正面を向いたまま行いましょう。
右2回、左2回、右2回、左2回行います。
毎回体をしっかり起こします。

注意点 
不安定な場合は座って行ってください。
呼吸は止めずに行ってください。

理学療法士目線で考えられる効果

  • 上半身の横をしっかり伸ばすので、腹部を刺激し胃腸の動きが促進され便秘予防の効果
  • が得られます。
  • 腕を挙げることで肩甲骨の動きも伴い、猫背や肩こりの改善にもつながります。
  • 肋骨(ろっこつ)に付着している筋肉がストレッチされ柔らかくなり、深呼吸がしやすくなります。
  • ストレッチ効果により自律神経が整います。
  • お腹周りの筋肉を刺激し胃下垂の改善と便秘の予防・改善につながります。
  • お腹の筋肉(腹斜筋)と背中の筋肉(広背筋)、背骨の下方の両脇にある筋肉(腰方形筋)がストレッチされるため、続けることでウエストの引き締めや腰痛の予防・改善に効果が得られます。

6番目:体を前後に曲げる運動

狙い    上半身の力を抜いて弾みをつけながら前屈、両手で腰を押し出すように後屈させ、背骨を柔軟に保つ

足は開脚姿勢

弾みをつけて3回曲げる
手を腰に当て、体を反らす

運動のポイント
膝は曲げません。力を抜いて足の間から後ろを見るように前屈します。
一連の流れを2回繰り返します。
前屈動作をするときに、太ももの後ろの筋肉(ハムストリングス)が固く伸びにくいと腰部の背骨に過剰なストレスがかかって痛みを誘発することがあります。股関節(骨盤をしっかり前側に倒すイメージで)から動かして太もも後面の筋肉の柔軟性を高め、背骨に過剰な負担がかからないよう意識しましょう。
同様に後屈動作をするときに、太ももの付け根の筋肉(腸腰筋・筋膜張筋)が固いと、腰の骨に過剰なストレスがかかって痛みを生じる可能性があるので股関節を伸ばす(骨盤を後ろに倒す)イメージでこれらの筋肉の柔軟性を高めましょう。

注意点
不安定な場合は座って行ってください。
呼吸は止めません。
前屈するときは体の力を抜き、体の重みで前屈するようにしてください。
前屈や後屈のとき、腰に痛みが出現する場合は痛みのない範囲で行うか、動作を中止してください。

理学療法士目線で考えられる効果

  • 背中、腰、腹部や太ももの裏の筋肉がストレッチされ柔軟性がアップします。筋肉の柔軟性がでると、腰部への負担が軽減され腰痛予防の効果が得られます。
  • 腹部を刺激し胃腸の動きが促進され便秘予防の効果が得られます。

7番目:体をねじる運動

狙い    腕の重さを利用しながら腕を振り、良い姿勢で体をねじることで腰回りの筋肉を伸展させ、背骨を柔軟に保ちます。

足は開脚姿勢

腕を体に巻き付けるように振り、左、右、左と体をねじる。
体をねじりながら振り上げの準備

腕を振り、体をねじる(2回)

運動のポイント
下半身を固定し、ウエスト中心に体をねじります。
毎回後ろを見るように、首も一緒に体とねじります。2回繰り返します。

注意点
不安定な場合は座って行ってください。
呼吸は止めません。

理学療法士目線で考えられる効果

  • 背中、腰、腹部の筋肉がストレッチされ柔軟性を高め、腰への負担を軽減します。
  • 腹部を刺激し胃腸の動きが促進され便秘予防の効果が得られます。
  • 肋骨(ろっこつ)に付着している筋肉がストレッチされ柔らかくなり、深呼吸がしやすくなります。

10番目:体を回す運動


狙い    体の力を抜いて大きく回すことで、腰部を中心とした背骨の柔軟性を高める

ひじは曲げない

両腕で円を描くように大きく回す
腰が痛くい範囲で行う

運動のポイント
力まずリラックスして体の重みを利用した遠心力を使って回します。
下半身は固定し、体を安定させます。
腕と上半身を左へ大きく回して次に右へ回します。2回繰り返します。

注意点
不安定な場合は座って行ってください。
呼吸は止めません。

理学療法士目線で考えられる効果

  • 肘を伸ばして体を回すことで、胴体全体がほぐれます。
  • 腰背部、腹部の筋肉が収縮し、ストレッチされ腰痛予防の効果が得られます。
  • 普段伸ばさない筋肉がストレッチされ正しい姿勢づくりに効果が得られ、正しい姿勢をとることで腸がつぶされず便の流れがよくなり便秘予防につながります。
  • 腹部を刺激し胃腸の動きが促進され便秘予防の効果が得られます。
  • 体をぶれないように安定させることでインナーマッスル(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋など)の強化につながります。

3回に渡ってラジオ体操第1の中から呼吸、肩こり予防、腰痛・便秘予防に効果のある運動を詳しく紹介してきました。
ラジオ体操は目的を意識して行うとより効果的です。意識しながら行うことで、筋力トレーニング、ストレッチ、バランス運動、有酸素運動などの総合的な運動ができます。長期間継続することにより姿勢が整う、血行がよくなり基礎代謝がアップする、なども効果として考えられます。

また、ご紹介した運動はすべて、体を安定させ軸がぶれないように意識して手足の運動を行うことでインナーマッスルを鍛える期待できます。インナーマッスルを強化すると姿勢の改善や基礎代謝の向上、ダイエット効果、内臓脂肪の減少などの効果もあります。

痛みや不調の予防や改善のために、ご自宅でのラジオ体操試してみてはいかがでしょうか。

[参考資料]

●NPO法人全国ラジオ体操連盟『ラジオ体操みんなの体操テキストブック』NHKサービスセンター2018
●一般財団法人簡易保険加入者協会発行『ラジオ体操DE健康タウン』
https://www.fpp.or.jp/radio_taiso/pdf/radio_jirei.pdf
●厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html

ボタン
ボタン
ボタン

関連記事

関連記事

一覧へ戻る
ページのトップへ