多くのランナーを悩ませる足のトラブル「オーバープロネーション」とは?
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こんにちは。スリーウエルネス柔道整復師の大塚です。
新型コロナウイルスの流行もひと段落し、ウィズコロナの世の中がやってきそうですね。東京マラソンやおかやまマラソンなど、市民ランナーが参加できる大会も、コロナ禍以前のように開催されるようになってきました。この3年、主要なマラソン大会は軒並み中止となりました。
2022-23シーズン、主要な大会が再開され、久しぶりに走った結果、足に痛みが出たというランナーも多いのではないでしょうか? 本日のブログは、多くのランナーを悩ませる足のトラブルについてです。
走っていて足先や足首に痛みはありませんか?
マラソンやランニングで起きてしまう怪我の中には、様々なものがあります。特に、多いのが足首や足部(足首よりも末端の部分)周辺の痛み。「痛めたきっかけは特に思い当たらないけど、足が痛くて病院に行った」「痛みはあるけど、レントゲンでは特に問題ない」など、病院に行ってみたものの、痛みの原因がよくわからず、そのまま走り続けている方も多いのではないでしょうか?
「足を捻挫(ねんざ)した」「アキレス腱を痛めた」など原因がはっきりしている痛みとは違い、特に怪我をした記憶はないけど、走ると足首や足部が痛い。このように「病名」がつかない足のトラブルは、何をしてよいのか分からず、放置している方が大半だと思います。
痛みが出るということは、その場所に負担がかかる原因が存在するということ。痛み止めを飲む、痛みがある場所をケアするなど、一時的に痛みを軽減させることはできるかもしれませが、根本の原因を解決しない限り、痛みは繰り返します。
では、その痛みの原因は何なのでしょうか?
足首の痛みの原因「オーバープロネーション(過回内)」とは?
ランニング時、足には体重の2〜3倍の負荷がかかるといわれています。ランニングに限らず、人間は足を地面に接地する際、足首をねじることにより、その負荷を逃す身体機能が備わっています。これが「プロネーション」です。
人によっては、このプロネーションがかかり過ぎ、足首が内側に倒れこみ過ぎてしまうことがあります。この状態を「オーバープロネーション(過回内)」と呼びます。 オーバープロネーションの状態で走りこみを続けると、体重による過負荷がかかり、足首や足部だけでなく膝や腰までランニング障害が及んでしまうことがあります。
前述したように、走っているときはプロネーションのはたらきで足底(足の裏)のアーチを維持し、着地の衝撃などを吸収しています。オーバープロネーションが起きると、足底のアーチが潰れ、衝撃吸収がうまくできず、結果的に足首や膝に負担がかかり、疲労しやすくケガのリスクも高まってしまいます。では、なぜオーバープロネーションは起きるのでしょうか?
オーバープロネーションの原因
オーバープロネーションの原因は様々ですが、主に以下のことが原因として考えられています。
- 靴のサイズが合っていない(大きい)
- 歩き方、走り方の癖
- 遺伝性(関節が緩い)
- 足部への繰り返しの動作、衝撃
- 後脛骨筋(こうけいこつきん)機能不全などによる足底のアーチ減少
この中でも特に多いのが「足底のアーチの減少」です。 人間の足には3つのアーチがあると言われています。内側の縦アーチ、外側の縦アーチ、横アーチです。それぞれのアーチがばねのように働き、地面からの衝撃を吸収しています。
通常、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)や後脛骨筋(こうけいこつきん)、足底屈筋群(そくていくっきんぐん)などの筋肉によって、足底のアーチは維持されていますが、これらの筋肉が、加齢や運動不足によって弱くなると、歩行動作、ジャンプ動作、ランニング時などの衝撃に耐えることができず、足首が内側に傾き、オーバープロネーションの状態になってしまいます。
オーバープロネーションが原因で起きる症状
オーバープロネーションは、走行時のパフォーマンス低下に繋がるだけでなく、そのほかの症状を引き起こす原因になることもあります。
- 扁平足(へんぺいそく)
- 外反母趾(がいはんぼし)
- アキレス腱炎
- シンスプリント:すねの内側あたりに痛みがおこる過労性障害。過労性脛骨(けいこつ)骨膜炎とも呼ばれる。
- モートン病:足の指に向かう神経が慢性的に圧迫されて起こる神経障害。足の人差し指と中指の間や中指と薬指の間がピリピリと刺すように痛んだり、しびれたりする。
- 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん):膝の外側に痛みを感じる症状。別名ランナーズニー。
- 足底筋膜炎(そくていきんまくえん):足裏やかかとが炎症を起こし痛む。
様々な障害になりかねないのがオーバープロネーションです。その他にオーバープロネーションが身体の歪みを引き起こすことから、足首より上のひざや腰などにも痛みを引き起こすこともあります。
オーバープロネーションどうすればわかる?
オーバープロネーションはランニング時など、足に強い衝撃が加わるときに出現するため、普段の立ち姿勢や歩いている様子から見つけるのは難しいと言われています。
そこで、普段走っているときに使用しているランニングシューズを見てみましょう。シューズの靴底を見て、全体の靴の擦り減り具合よりも、つま先の内側とかかとの外側の減り方が極端に強い場合は、オーバープロンーション気味に走っている可能性が高いと言えます。
もちろん、これだけオーバープロネーションだとは断言できないのですが、気になった方はトレッドミルで走っている動画を撮って、確認してみましょう。
オーバープロネーションの対策
一番の予防対策は「足首の内折れを防ぐこと」です。主な方法としては、
- 筋肉を鍛えること
- インソール(靴の中敷き)で対応すること
- 適切な大きさのシューズを履くこと
などがあります。インソールやシューズの調整も大切ですが、日本人は常に靴を履いて生活をしているわけではないため、まずは筋肉で対策することが非常に大切です。
トレーニング「カーフレイズ」
踵骨(かかと)が内側に傾くのを防いでくれる筋肉は、「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」「後脛骨筋(こうけいこつきん)」「足底屈筋群(そくていくっきんぐん)」。
足底の内側アーチを形成してくれる筋肉です。これらの筋肉を鍛え、足首の内折れを防ぐこと効果があるのが「カーフレイズ」。
1. 脚を肩幅に開き、で立つ
2. かかとを上げてつま先立ちになる
3. 限界の高さまでかかとを上げた状態で10秒間キープする
4. 元の状態よりも低い位置まで、ゆっくりとかかとを下げる
5 .20回×3セット行う
【ポイント】
床までかかと下げないこと、指先にも力を入れることです!
負荷が強すぎると感じる場合は、何かにつかまってやったり、座ってやったりしても大丈夫です。逆に弱すぎると感じる人は、片足ずつやると負荷が大きくなるので、試してみてください。 簡単なので、是非やってみてくださいね。
「短腓骨筋」「長腓骨筋」のストレッチ
筋肉を鍛えるだけでなく、ストレッチで緩めることも大切です。ふくらはぎの外側にある筋肉「短腓骨筋(たんひこつきん)」「長腓骨筋(ちょうひこつきん)」の緊張が強まると、足首が内折れする方向に引っ張られてしまいます。
これらの筋肉をストレッチして緩めておくことも必要です。
1.左右の足のつま先を内側に向ける
2.小指側に体重をかけて親指側を浮かせる
3.前屈して足の甲~すねの外側の筋肉が伸びているところで15~30秒キープ。2~3セット繰り返しましょう。
【ポイント】
手を床に降ろして前屈するのが難しい場合は手を太ももにおいて上体を支えましょう!
筋肉の伸びが物足りないと感じる場合は、片方の足へ体重をかけるとより強く伸ばせます。
まとめ
いかがだったでしょうか?現在、痛みを抱えているランナーの方は、一度、自分の足の状態を見てみましょう。自分ではわからない方は、専門家のいるところで一度診てもらった方がいいかもしれませんね。
スリーウエルネスでは柔道整復師や理学療法士などの医療国家資格を持ったトレーナーがケアとトレーニングを担当しているます。足の悩みを抱えている方はぜひ一度ご相談ください!
スリーウエルネス柔道整復師 大塚