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トレーニング&ケア

2023.01.27

健康寿命を延ばしたい!ロコモ度テストで今の自分を見つめなおそう!

初めに

2023年が始まり、はや1か月が経とうとしています。良い2023年のスタートが切れましたか?スリーウエルネス理学療法士の末廣です。

年末年始は自宅で家族とのんびり過ごすことができました。この年末年始、新型コロナウイルスに加えてインフルエンザも流行の兆しがあり、改めて健康の大切さを感じる年越しになりました。皆さんはいかがでしたか?

寒い日が続くと、外に出るのが億劫(おっくう)になりがちですね。若い人でも運動不足や正月太りの原因にもなりやすいこの時期の引きこもりですが、高齢の方にとっては、「ロコモ」の危険性の増す時期でもあります。今回は「ロコモ」に加え、ロコモと共によく耳にする「サルコペニア」、「フレイル」についての解説と、自宅でできるロコモ度チェックを紹介します!ぜひ最後まで読んでくださいね。

サルコペニア、ロコモ、フレイルってなんだろう?

日本が超高齢化社会になったと言われて久しいですね。近頃は「健康寿命」という言葉をよく耳にします。ただ長く生きるだけでなく、健康に自立した老後を過ごしたいという誰しもが抱く希望から、近年注目されるようになった言葉です。平均寿命と健康寿命は男性で8.73年、女性では12.06年の差があり、この期間が健康を害している期間と言えます。

健康寿命や介護予防に関連して、「サルコペニア」「ロコモ」「フレイル」という言葉を一度はテレビや新聞、SNSなどで聞いたことがあるのではないでしょうか?
サルコペニア、ロコモ、フレイルという言葉は、一言でいうと要介護・要支援状態のリスクが高まった体の状態のことを指します。
では、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?

サルコペニア

サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態のことを言います。ふくらはぎの太さが、両手の人差し指と親指で作った輪より細い人は要注意です。握力の低下と歩行速度の低下どちらかがあり、骨格筋力が基準値を下回っている場合サルコペニアと診断されます。

ロコモ

ロコモとは、「ロコモティブシンドローム」という言葉の略語です。「認知症」が認知能力の障害を意味するようにロコモティブシンドロームは英語「locomotion:ロコモーション」=「移動能力」が障害された状態という意味で用いられています。

医学的に体を動かすために働いている器官を「運動器」といいますが、骨・関節・筋肉・神経などがこの「運動器」にあたります。これら運動器が加齢に伴う筋力の低下(サルコペニア)やケガ、病気などで障害され、立ったり歩いたりする能力が低下した状態がロコモです。

ロコモが進行すると将来介護が必要になるリスクが高まります。 実際に厚生労働省によると、要介護になる直接的な原因のうち、骨折や転倒、関節疾患など運動器の障害、高齢による衰弱が全原因の3分の1超と大きな割合を占めています。すなわち要介護者のうち3分の1超は、ロコモをきっかけに要介護状態になってしまったと言っても差支えがありません。

フレイル

フレイルとは、加齢により心身が衰えて疲れやすく、弱った状態を言います。筋力や運動機能が低下を「身体的フレイル」、加齢に伴う心理的変化や精神・認知機能の低下を「心理的フレイル」、一人暮らしや経済的困窮など、社会活動が制限されてしまうような社会的な問題が発生した状態を「社会的フレイル」と言います。

フレイルは健康寿命を失いやすい状態であり、健康的で自立した状態を保つための身体的・社会的・精神的な配慮やサポートを検討する段階(前介護段階)とも言えます。つまり何とか自立はしているものの、「余力がなくギリギリで日常生活を保っている」状態ですね。それぞれの原因によって3つに分類されていますが、もちろん相互関係はあります。

身体的フレイルは、運動機能の低下だけでなく、栄養状態や口腔機能など、体の機能障害全体をとらえているのがロコモとの大きな違いです。

歩行速度の低下、疲れやすさ、活動性(人付き合いや外出など)の低下、筋力の低下、体重減少の5つの徴候が身体的フレイルの目安となります。

フレイルは余力なく活動している状態ですので、何か問題が生じれば、即要介護状態へと移行してしまいます。しかし、生活習慣や環境の改善で健常な状態に戻ることも可能な状態だとも言えます。

サルコペニア・フレイル・ロコモの関係は、図のように、身体的フレイルの原因の一つにロコモがあり、ロコモの原因の一つにサルコペニアがあると考えるとわかりやすいと思います。

ロコモ度テストをしてみよう!

ロコモ度テストって何?

日本整形外科学会がロコモティブシンドローム予防の啓発のため、推奨している簡単にロコモを判断できる3つのテストです。

3つのテストの結果により、ロコモではない状態、ロコモが始まっているロコモ度1、ロコモが進行したロコモ度2、ロコモが進行して社会参加に支障をきたしているロコモ度3に判定できます。ロコモ度3の状態は、ロコモが原因の身体的フレイルにあたります。

立ち上がりテスト

いくつかの高さの違う台に座った状態から、両脚もしくは片脚で立ち上がり、立ち上がれた台の高さなどからロコモ度を判定します。

40cm、30cm、20cm、10cmの4種類の高さの台から、両脚、または片脚で立ち上がります。

胸の前で腕をクロスさせた姿勢で対応する台に腰掛け、足の裏は地面につけましょう。 まずは両脚で40cmの台からテストします。足は肩幅くらいに広げ、床に対して、すねが70度になるように足を床面につけます。

① 反動をつけずに立ち上がり、3秒立った姿勢を保ちます。
② 出来なかった方はロコモ度3です。
③ 出来た方は片脚40cmで行います。
④ 左右どちらかの足を上げ、上げた方の足の膝は軽く曲げます。
⑤ 反動をつけずに立ち上がり、3秒立った姿勢を保ちます。

それぞれ下の図のようにテストを進めていきます。

【判定】
ロコモ度3;両足で40cmの台から立ち上がれない
ロコモ度2;両足で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台から立ち上がれる
ロコモ度1:片脚で40cmの台から立ち上がれないが、両足で20cmの台から立ち上がれる

注意点
・ふらついて転倒など内容、無理のない動作で行いましょう。
・テスト中、膝に痛みが起きそうな動作は気を付けましょう。
・反動をつけずに立ち上がりましょう。

2ステップテスト

2歩の歩幅の大きさから両足のバランス能力や筋力を判断します

1:スタートラインを決め、つま先を合わせます。
2:できる限り大股で2歩歩き、両足を揃えます。
3:2歩分の歩幅(最初に立ったラインから着地点のつま先まで)を図ります
4:2回行ってよかった方の歩幅で判定します。
5:2歩幅cm÷身長cm=2ステップ値
  を算出し、2ステップ値によってロコモ度を判断します

【判定】
ロコモ度3:2ステップ値が0.9未満
ロコモ度2:2ステップ値が0.9~1.1未満
ロコモ度1:2ステップ値が1.1~1.3未満

2ステップ値が1.3以上の方はロコモではありません。

注意点
・支えている人のいる環境で行ってください。
・転倒に気を付け、バランスを崩さない範囲で行いましょう。
・ジャンプしてはいけません。
・準備体操をしてから行いましょう。

ロコモ25

直近一か月間の身体の状態や生活習慣を25問の質問からチェックし、ロコモ度を判定します。

直近の一カ月の間の身体の痛みや日常生活の様子などを、0~5点の得点化できる質問にし、それを25問答える問診になっています。 結果を得点化し、ロコモ度を判定します。

日本整形外科学会のロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモON LINE」に、25問を回答すると自動で点数を出してくれるアンケートフォームがあるので、ぜひご利用くださいね!

3つ全てのテストを実施すると、3つの結果が出ますが、判定されたロコモ度のうち、最も移動機能が低いと判定されたものが今のあなたの判定結果です。どの段階にも該当しない方はロコモの状態ではないということになります。

ロコモ度1の方は、筋力やバランス力が落ちていているので、運動習慣をつけること、栄養に気を付けることが推奨されています。
ロコモ度2では、環境によっては自立した生活が維持できなくなるリスクが高まっている状態です。また、動作中に痛みが伴う場合は、運動器に問題が生じている可能性が考えられるので整形外科の受診が進められています。
ロコモ度3では自立した生活が困難になるリスクが非常に高い状態です。また、極端な筋力低下の状態なので、なんらかの運動器疾患の可能性が高く、早急に整形外科専門医の診察を推奨されています。

まとめ

多くの人は症状が出てから病院に行くことが多いと思いますが、発症する前に健康診断で正常値から逸脱する結果を知ることができれば、生活習慣の改善をするなど、早めに手を打つことができます。早い段階で病気に向き合うと、回復の可能性も大幅に高まりますよね。

それと同じように、体を動かす機能も目に見えませんが、少しずつ低下していることがあります。「年のせいだからしょうがない、頑張ればぎりぎりなんとかなるので気にしていなかった」という段階だからこそ、早いうちに筋力強化や持久力向上を意識することで、その後の健康寿命が大きく伸びていきます。

高齢期や後期高齢者と言われる年齢の方だけでなく、40代を過ぎれば運動習慣がないと筋力が低下すると言われています。ロコモ度チェックは健康診断と同じように客観的に判断できる指標になります。まだ若いからと過信せず自分の身体を見直すきっかけに試してみるのはいかがでしょうか。

スリーウエルネスでは、それぞれのお体の状態にあったトレーニングをパーソナルで提供しています。ロコモチェックをお試しいただいた結果から気になることがあれば、是非ご相談ください。

スリーウエルネス理学療法士 末廣

《参考文献》

・健康長寿診療ハンドブック
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/index.html)
・「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208848.html)
・高齢者薬物療法ガイドライン 2015
(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/index.html
・フレイル診療ガイド 2018 年版
http://jssf.umin.jp/clinical_guide.html

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