コロナが終息しても免疫は大切!免疫の働きを助ける生活習慣とは?
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こんにちは。スリーウエルネス健康運動指導士の尾嶋です。
2023年に入り1か月が経ち、2月を迎えています。暦の上では立春が訪れますが、実際の季節感は一年の中で最も寒いのが2月。この寒さに空気の乾燥が加わることで、体調不良や健康トラブル、風邪などの感染症にかかる方も増える時期です。近年、新型コロナウイルスに加え、インフルエンザの流行がピークを迎えるのも2月です。
そこで今回は、体調管理するうえで知っておきたい、「免疫とはなにか?」、「適度な免疫力を維持する生活習慣」について解説します。感染症に負けずに寒い季節を乗り切りたい方、ぜひ参考にしてくださいね。
免疫ってなんだろう?
「疫(えき):流行病」を「免(まぬがれる)」と書いて「免疫」です。すなわち、細菌やウイルスなどの病原体(抗原)から身体を守ってくれる防御システムのこと。また、外部からの侵入を防ぐだけでなく、身体の中の老廃物や死んだ細胞、発生したがん細胞を処理する、あるいは傷ついた組織があればそれを修復するのも免疫のはたらきです。
「免疫」には、「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があり、「自然免疫」とは体内に異物が侵入したときに最初に働く防御システム。「獲得免疫」は「自然免疫」で対処しきれなかった場合に働く防御システムのことです。
自然免疫とは?
自然免疫は人間に生まれつき備わっている防御システムのこと。自分と自分以外(非自己)の特徴を持っている物質を見分け、異物「抗原」だと特定し、体内に侵入してきたウイルスや細菌などの抗原を攻撃し排除します。
自然免疫で活躍するのは主に白血球とリンパ球。健康診断での血液検査結果でも、よく目にするので、聞いたことのある方も多いと思います。白血球やリンパ球にはいくつかの種類があり、それぞれが身体に侵入する異物を排除するために働いています。 自然免疫を担っているのは以下のような細胞があります。
〈好酸球〉
呼吸器や腸管などに存在する白血球の一種。貪食(ウイルスや細菌などの抗原を食べつくす)細胞とも呼ばれ、ウイルスや細菌を殺菌したり、寄生虫を処理したりする役割を持ちます。
〈好中球〉
自然免疫を担う代表的な免疫細胞で、白血球全体の約45~75%を占めています。貪食細胞の一つ。異物を除去する力が強く、酵素の働きで食べた細胞を消化し殺菌する役割を持ちます。
〈好塩基球〉
白血球中に占める割合は非常に少ないですが、好酸球や好中球の移動を助け、初期のがん細胞などを感知し破壊する働きや、傷口の治癒の役割を持ちます。
〈マクロファージ〉
白血球の一種で貪食細胞です。血管内に存在している時は単球と呼ばれますが、血管の外に出るとマクロファージと呼ばれ、異物を取り込んで消化すると、その情報を他の免疫細胞に伝達する役割を持ちます。
〈樹状細胞〉
貪食細胞の一種で、樹の枝のような突起を持つのが特徴です。異物を取り込んで消化することで、できた物質を抗原として他の免疫細胞に伝達する役割を持ちます。
〈NK(ナチュラルキラー)細胞〉
リンパ球と呼ばれる細胞の一種で、体内を巡回し、がん細胞やウイルスなどに感染した細胞を攻撃し除去する役割を持ちます。
獲得免疫とは?
自然免疫は血液中に入り込んだ小さい病原体や、細胞の中に入り込んでしまった病原体に対しては対処が苦手と言われています。そのような場合に働くのが獲得免疫です。獲得免疫は一度侵入した異物の情報を記憶しておき、同じ異物が再度侵入してきた際、いち早く対処してくれます。一度かかった病気にかかりづらくなるのは、獲得免疫が「抗体」(体内に入った抗原を体外へ排除するために作られるタンパク質)を作ることで、ウイルスや細菌などの抗原を処理してくれているためです。
過去に侵入したことのある抗原に関する記憶に基づいて働くのが獲得免疫であるため、先天的に備わっているものではありません。獲得免疫では以下のような細胞が働きます。
〈ヘルパーT細胞〉
感染した細胞をいち早く発見し、免疫細胞に異物攻撃の指令を出します。
〈キラーT細胞〉
ヘルパーT細胞の指令を受けて、ウイルスに感染した細胞を破壊します。
〈制御性T細胞〉
他の免疫細胞に攻撃の終了を指令することで、免疫異常を起こさないように調整します。
〈B細胞〉
ヘルパーT細胞の指令を受けて抗体をつくる働きがあります。また、侵入してきた異物が危険かどうかを判断し、侵入してきた抗原を排除します。
〈形質細胞〉
B細胞が成熟した細胞で、抗体を量産し、抗原を排除してくれます。
〈メモリーB細胞〉
一度侵入してきた病原体の情報を記憶し、病気にかかりにくくします。
免疫の働きは高められるの?
「病気にかからないよう免疫力を上げたいけど、何をどうしたらいいの?」と思っている方も多いと思いますしかし、免疫機能は働きすぎても体に悪い影響を及ぼしてしまうため、「正常に働いている状態」を保つことが大切です。
また、免疫機能を測る指標は存在していないため、「免疫力を上げる」という表現は、医学的には正確な使い方ではないとされています。したがって、病気にかかりにくく健康に保つためには、「免疫の働きを維持する」ことが重要になってきます。
免疫の働きを維持するためには?
病原菌やウイルスなどの異物などから身体を守り、健康な毎日を送るには、免疫機能が正常に働くのを維持することが重要です。そのためには、健康的な生活習慣を続けることが大切になります。免疫の働きを維持するために大切な生活習慣は4つ。1つずつ見ていきましょう!
1日3食栄養バランスの良い食事を摂る
免疫の働きを維持するため以外にも、1日3食、栄養バランスの良い食事を摂ることは健康であり続けるためには大切なことです。主食(米やパン)をベースに、肉・魚・卵・大豆食品などの主菜、野菜・海藻類・きのこ類などの副菜そろえることで、様々な栄養素を摂ることができ、自然と栄養バランスが整います。
また、免疫機能をつかさどる免疫細胞のうち約7割が腸に集中していると言われています。そのため、免疫の働きを維持するためには、腸の良い状態を整えることが必用になります。 腸が活発で良い状態に保つためには、ヨーグルトや納豆、キムチやチーズなどの善玉菌を多く含む発酵食品を摂ること、食物繊維を多く含む根菜類やきのこ類を摂ることも大切ですよ。
適度な運動をする
適度な運動で代謝や体温を上げることは、免疫の働きを維持することに繋がります。免疫細胞中のヘルパーT細胞やキラーT細胞、B細胞などは、体温が上がることで働きが活発になると言われています。
また適度な運動により、運動後、上がった心拍数や血圧を下げようと、副交感神経がはたらき、体がリラックスし易くなります。これがストレスの軽減につながります。過度なストレスは免疫の働きを阻害する因子となるため、運動によりストレスが軽減・解消されると免疫の働きを維持することが期待できます。1日10分程度でいいので、少し汗をかくくらいのウォーキングやラジオ体操などの軽運動を続けてみましょう!
十分な睡眠をとる
眠りについてから2~3時間ほど経過すると、人間の脳からは成長ホルモンが分泌されます。この成長ホルモンは、傷んだ細胞を修復したり、体全体の疲労を回復させる働きがあり、免疫の働きとも密接な関係があります。
また、免疫機能を担う免疫細胞には、1度感染したウイルスや細菌などの異物の情報を記憶する免疫記憶というシステムが備わっています。免疫記憶で活躍するT細胞(ヘルパーT細胞、キラーT細胞)は、1度侵入した異物を認識し、排除することで再度の侵入を防いでくれますが、睡眠を十分とることで、このT細胞の記憶の持続時間が長くなると言われています。
さらに睡眠中は副交感神経が優位になり、体がリラックスした状態になります。運動でも紹介しましたが、過度なストレスは免疫の働きを阻害する因子になるため、十分な睡眠を取り、ストレスを取り除くことは、免疫の働きを維持するためには大切ですよ。
ストレスをためないようにする
運動、睡眠でも触れましたが、過度なストレスは免疫の働きを阻害します。免疫の防御システムは自律神経の支配を受けています。自律神経には交感神経と副交感神経とがあり、この2つのバランスが保たれることで免疫の防御システムは正常に働きます。
ところが、持続的な強いストレスを受けると、交感神経が緊張し、副交感神経とのバランスが崩れます。自律神経のバランスが乱れると、鼻、口、呼吸器などの粘膜から分泌されるIgAと呼ばれるタンパク質の濃度が低くなります。IgAは、免疫の防御システムの最前線で体を守ってくれているタンパク質。この濃度が下がると、病気にかかりやすくなります。
また、持続的な強いストレスを受けると、脳からストレスに反応してステロイドホルモンが過剰に分泌され、白血球中のリンパ球や細胞の働きを低下させます。なぜこのような反応が起きるのか、非常に複雑でまだ分かっていないことが多くあるようですが、ストレスが免疫機能に大きな影響をもたらすことは間違いなさそうですね。そのため、日頃からなるべくストレスをためないようにすることが大切と言えます。
まとめ
コロナ禍において、非常に注目された「免疫」。新型コロナウイルスだけでなく、病気を予防し、健康を維持するためには、免疫の防御システムが正常に働いている状態を維持することが重要だということを改めて理解いただけたでしょうか?この機会に、自身の生活習慣を見直し、今紹介した免疫の働きを維持するために必要となる大切な4つの生活習慣を実践してみてくださいね。
スリーウエルネス健康運動指導士 尾嶋