「噛む力=生きる力」〜咀嚼と筋力・健康寿命の深い関係〜
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こんにちは、トレーナーの村田です。
皆さん、普段の食事で「どのくらい噛んで」いますか?私たちの身体は、“食べること”を通して健康をつくっています。そのなかでも「噛む」という行為は、単に食べ物を細かくするだけでなく、全身の健康や筋肉、心の状態にまで深く関係しているのです。
「噛ミング30(サンマル)」運動をご存じですか?
厚生労働省では、「ひと口30回噛む」ことを推奨する『噛ミング30(サンマル)』運動を展開しています。目的は、子どもから高齢者まで、お口の健康を守り、健康寿命を延ばすこと。
参照:厚生労働省 「歯・口の健康と食育~噛ミング30を目指して~」
現代人は、食事時間が短くなり、噛む回数も減っています。戦前の日本人は一食あたり約1,420回噛んでいたのに対し、今では約620回と半分以下。 食の柔らかさや早食いの習慣が、私たちの健康に少しずつ影響を与えているのです。
今回は、噛むことがなぜ重要なのかを、紹介していきたいと思います。
「噛むこと」は全身のトレーニング
噛む行為は口周りだけではなく、
頭・首・姿勢・呼吸・体幹・自律神経まで広く影響します。
咀嚼は“姿勢筋”を刺激する
歯を噛みしめると、
- 咀嚼筋(咬筋・側頭筋)
- 首の前後(胸鎖乳突筋・僧帽筋)
- 背骨を支える深層筋(多裂筋)
が連動します。

側頭筋や咬筋などの、噛む動作に使われる筋肉は「咀嚼筋(そしゃくきん)」と呼ばれます。主にこめかみや頬、顎の周りの筋肉ですが、実はこの咀嚼筋は首・体幹の筋肉とも連動しています。
つまり、「噛む力が弱くなる」というのは、**全身の筋力低下(サルコペニア)**のサインでもあるのです。
サルコペニアについては、こちらのブログを参照ください。
噛むことで“呼吸”が整う
よく噛むほど 副交感神経が優位 になり、呼吸が深く落ち着きます。
- 呼吸が浅い人
- 口呼吸が多い人
- ストレスが溜まりやすい人
には特に効果的。
体幹トレーニングの効果が上がる
プランク・スクワット・ランニングなどで「奥歯を軽く噛む」だけで腰の安定が高まり、
出力(力の伝達効率)が向上 します。
【良く噛むことで期待できること】
- 走る時にブレなくなる
- スクワットで踏ん張りが効く
- ジャンプやダッシュの安定性UP
- 肩こりの軽減
- 体幹の“つながり”を感じやすい
上記のように、しっかり噛むことが全身への影響がいろいろあります。
他にも様々なメリットがあります。
よく噛むことがもたらす“7つのメリット
口内環境を清潔に保つ
唾液の分泌が促され、虫歯や歯周病を予防
満腹感アップで肥満予防
ゆっくり噛むことで食べ過ぎを防ぎ、生活習慣病のリスクも減少
消化吸収がスムーズに
栄養素を効率よく吸収し、筋肉づくりにもプラス
顎や顔の筋肉を強化
フェイスラインのたるみ防止や、姿勢の維持にも役立ちます
味覚の向上
食材本来の味をじっくり感じられるようになります
脳の活性化
噛む刺激で脳の血流が増え、集中力・記憶力アップ
ストレス軽減効果
一定のリズムで噛むと「セロトニン(幸せホルモン)」が分泌され、気持ちが安定します。
たくさん噛むことは、様々なメリットがありますね。では、逆に噛まない生活が続いてしまうと身体にどんな影響を及ぼすのでしょうか?
噛まない生活がもたらす影響とは
噛む回数が減ると、




実は、健康だけでなく、姿勢などの見た目にも悪影響なのです。
まさに「噛む力の低下=老化の始まり」とも言ってもいいかもしれません。
今、やばいと思われた方、今からでも予防できることはあります。今日からできる「噛む力」を育てる習慣をつけていきましょう。
今日からできる!「噛む力」を育てる習慣

✅ ひと口30回を意識して噛む
✅ 姿勢を正して、食事に集中する
✅ 飲み物で流し込まず、しっかり咀嚼する
✅ 噛みごたえのある食材を取り入れる(根菜・ナッツ・雑穀など)
✅ 歯や歯茎のケアを定期的に(歯科検診も忘れずに)
✅ 食事時間にゆとりを持つ
いかがでしょうか?意識すれば、そこまで難しいことはないと思います。「噛む力」を習慣化できるように、今日から取り組んでいきましょう。
まとめ

「噛むこと」は最高の筋トレであり、噛むことは、食べながらできる“日常の筋トレ”です。
1日3回の食事で咀嚼筋を動かすことは、週21回の軽い筋トレをしているのと同じ。
・筋肉の衰えを防ぐ
・栄養吸収を高める
・脳を活性化する
「よく噛む」だけで、こんなにも多くのメリットがあります。
ぜひ次の食事から、**“ひと口30回”**を意識してみてください。
きっと、心と体の変化を感じられるはずです。「噛むこと」は“生きる力”そのもの。
この機会をきっかけに、食べる時間をトレーニングの時間に変えていきましょう。