尿漏れはなぜ起こる?~加齢だけではない生活習慣で起こる骨盤底筋の衰え~
目次

こんにちは!理学療法士の原田です。
温かくなり、気候も良くお出かけをする機会が増えできましたね。しかし、外出先でまずはトイレを探す女性はいませんか?私も公園などに行った際に、探すことが多いです。ふとした動作で尿漏れが気になってはいませんか?
実は、比較的若くても尿漏れに悩む女性は少なくありません。前回のブログで女性ホルモンの減少で尿漏れを起こすことを説明しました。今回は女性ホルモンの影響以外で起こる尿漏れの原因を深掘りしていこうと思います。加齢だけではなく、以下のようなライフイベントや生活習慣でも骨盤底筋は弱くなりやすいのです。
尿漏れにつながるライフイベントや生活習慣

- 出産(特に経腟分娩)
- 加齢・女性ホルモンの減少(更年期)→前回ブログ参照
- 肥満・便秘
- 不良姿勢や運動不足
- 咳やくしゃみが続く(風邪やアレルギー)
上記のように様々な要因があります。
それでは詳しくみていきましょう。
出産
出産は赤ちゃんが骨盤を通って外に出てくる大仕事です。その時、赤ちゃんの通り道(産道)の一部になっているのが骨盤底筋です。赤ちゃんの頭はだいたい直径10㎝くらいあるので、赤ちゃんの通過に合わせて、骨盤底筋は限界まで伸ばされます。このため、筋繊維がゆるんでしまいます。 特に時間のかかるお産や、大きな赤ちゃんだった場合、筋肉が傷ついたり、骨盤底の神経が圧迫されることもります。産後すぐは筋肉が「脱力状態」です。産後の尿漏れは3人に1人が経験するともいわれています。
便秘や肥満と尿漏れの関係
尿漏れには肥満や便秘は関係なさそうですが、なぜ起こるのでしょうか。体重が増えると、その分、骨盤にかかる圧力(負担)も増えます。骨盤底筋は身体の内臓を下から支えている筋肉なので、重さが増すとその分、ずっと踏ん張っていなければなりません。
イメージは、毎日重たい荷物をぶら下げたハンモックがずっと引っ張られているような感じです。

結果的に筋肉が伸びて緩みやすくなり、機能が低下しやすくなります。さらに、肥満の人は腹圧が常に高い状態になりやすいです。咳やくしゃみ、笑ったとき、立ち上がるときなど、ふとした時に緩んだ骨盤底筋が支えきれず、尿漏れが起きやすくなります。
では、便秘はどうなのでしょうか。女性は便秘でお悩みの方も多いと思います。便が出にくいとトイレで「いきむ」時間が長くなりますよね?その時に、お腹に力を入れる=腹圧がかかる状態。これを繰り返すと、骨盤底筋に過剰な負担がかかります。
さらに、慢性的な便秘だと腸にガスや便が溜まってお腹全体がパンパンになり、骨盤内のスペースが圧迫されてしまいます。これもまた、膀胱や子宮に負担がかかって、尿トラブルを引き起こしやすくなります。
不良姿勢や運動不足
座ってばかりだと、骨盤底筋やその周辺のインナーマッスルがさぼってしまいます。筋肉は使われないと、廃用性萎縮といって弱ってしまいます。また、デスクワークなどで猫背などの不良姿勢になると、骨盤底筋が常に引き伸ばされた状態になります。すると、筋肉がうまく収縮できず、緩んだ状態で力が入りにくくなってしまいます。
咳やくしゃみの影響
咳やくしゃみが尿漏れするのでしょうか?
それは、上記でも何度か出てきた腹圧が大きく関係しています。咳やくしゃみでは一瞬でぐっとお腹に力がかかります。これが腹圧です。身体の中では、肺や胃、腸、膀胱などの臓器がこの腹圧の影響を受けています。咳やくしゃみをすると、腹圧が上がり、膀胱もギュッと押されます。この時、尿道を閉める役割をしてくれているのが、骨盤底筋です。この骨盤底筋が弱っていると尿漏れしてしまいます。
尿漏れは恥ずかしいことでも特別なことではありません。多くの女性が経験する自然な身体の変化なのです。だからこそ、正しい知識とケアが大切なのです。
尿漏れ対策を始めましょう~姿勢を正すと尿漏れも治まるかも?~
では、どんなケア、対策をすればいいのでしょうか?
それは、骨盤底筋トレーニングです。
ゲーゲル体操の方法は前回のブログでもお話しました。不良姿勢が尿漏れにつながる理由も解説しながら、トレーニング方法を紹介しようと思います。
骨盤底筋には体幹部分の筋肉とともにインナーユニットを構成し、腹圧を一定に保ちバランスを保つという役割があります。
どういう事かといと、骨盤底筋は体幹にある腹横筋・多裂筋・横隔膜と協働してインナーユニットを構成しています。インナーユニットには腹圧を一定に保ち、姿勢の維持や動作時に身体を安定させる働きがあります。

このインナーユニットは体幹を安定して支えており、コルセットのような役割を果たしているのです。つまり、姿勢が悪くなる=インナーユニットが弱くなっているため、尿漏れしやすいということになります。
しかし、骨盤底筋、インナーユニットと言われても、身体の表面についている筋肉ではないので、どこに力を入れていいのか意識しにくいと思います。 そこで、まずは軽い力で収縮させ、動かす感覚をつかむための、エクササイズから始めるのがおススメです
①ドローイン(腹横筋のモーターコントロールエクササイズ)

腹横筋とは腹直筋や腹斜筋などのお腹の表面の筋肉のさらに下にある筋肉です。腹筋運動のような腹部の筋肉を強く刺激する運動を行うと、表面の腹直筋や腹横筋が働いてしまい、下層の腹横筋には刺激が入りづらくなります。そんな時はドローインというエクササイズで腹横筋に刺激を入れましょう。

- 上向きに横になり、両膝を立てます。
- 初めに腹式呼吸を何度か繰り返してみましょう。
- 慣れてきたら息を吐きながら、腹部をへこますように引き込みます。
なるべく、下腹部を引き込むように意識することで腹横筋下部~中部繊維の活動量が大きくなると言われています。
これ以上、引き込めないというところで、息苦しくないよう浅い呼吸をしながら10~30秒キープしてください。また、同じくらい休憩をしながら、5セットほど繰り返してみてください。
②お尻上げ(大殿筋、内転筋、多裂筋のトレーニング

- 仰向けで脚は腰幅で膝を立てます。膝の角度は90度にしましょう。
- 膝を閉じ、内ももに力を入れたまま、お尻を上げます。この時、膝の間にボールを挟むと内ももに力が入りやすくなります。
- お尻を上げた状態で5秒キープ。この時腰が反りすぎない、太ももが一直線になるように意識します。
- 5秒キープ×10回を目安に行ってみてください。
まとめ
エクササイズで姿勢を良くして、尿漏れも防ぎ、もっと外出を楽しめるようになりましょう!スリーウエルネスでは、運動が苦手な方も初心者の方も丁寧にマンツーマンでトレーニングをします。女性スタッフもいますので、ぜひご相談にいらしてみませんか。一緒に美しい姿勢と締まった骨盤底筋を手に入れましょう!
