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トレーニング&ケア

2025.02.18

隠れた危険!かくれ脱水を防ぐために~原因と予防方法~

こんにちは、健康運動指導士の尾嶋です。

2025年に入り、早いもので1か月が経ち、2月の初旬を迎えています。暦の上では春が始まる立春が訪れますが、実際の季節感は一年の中で最も寒いのが2月です。さらに、特有の寒さに乾燥が加わることで、体調不良や健康トラブルが起きやすい時期です。そんな時に自分の体の変化に目を向けないと、脱水症になりかけているのに本人や周囲が気づかない「かくれ脱水」になる人が意外と増えています。脱水症は一年を通して起こる可能性があり、特に多くなる季節は夏ですが、寒い時期の脱水症のリスクも高く注意が必要です。脱水というと、夏場に汗を大量にかくことで起こると思われがちですが、2月・3月は気温の変動が激しく体の準備ができていないため、体温調節機能に異常が起きやすく「かくれ脱水」に注意が必要です。

かくれ脱水とは

かくれ脱水とは、脱水が自覚されないまま脱水症状を生じる一歩手前に至った状態です。

成人では体重の60%程度が水分で、かくれ脱水は熱中症などで急激に水分が失われるだけでなく、生活習慣によって、じわじわと失われている場合もあります。この慢性的な脱水状態が、かくれ脱水です。かくれ脱水は、それが引き起こす症状が多彩でありながら、本人も周囲も気がつかないうちにかくれ脱水になっている場合があります。そして、自分で水分補給をしない乳幼児、喉の渇きを感じにくい高齢者の方は、特に注意が必要です。

体にとっての水分の役割

私たちの体は水分が支えています。成人の体の約60%は水分で、体重が50㎏なら、約30㎏は水分ということです。普段、体内にそれほどの水分があることを意識しなくても、水分は血液や体液はもちろん、皮膚や髪の毛・筋肉・内臓・骨など、体の中のあらゆる場所に存在します。細胞内にある水分は、エネルギーを生み出したり、タンパク質を合成したりするなど代謝に関わる働きをします。また、細胞外にある水分は、血液や体液となって酸素や栄養素を届けたり、老廃物を運んで体外に排出したりします。さらに、体温を一定の状態に保つのも、体の中の水分の働きです。

1日に必要な水分量は?

水分は栄養素ではなく摂取基準は決められていませんが、1日に必要な水分は、汗をかかない季節でも2~3ℓと言われています。なぜなら、排尿や排便でおおよそ1600㎖、呼気に含まれる水分や皮膚の表面から分泌されている水分で900㎖、合計して毎日約2500㎖の水分が失われているからです。だからといって、毎日約2500㎖の水分を飲まないといけないというわけではありません。私たちは飲料だけでなく、水分を多く含む食品やみそ汁やスープなどの汁物からも、必要な水分を摂っているからです。

年齢によって必要な水分量は違うの?

年齢によって必要な水分量は違います。特に、高齢者や子供は脱水症状を起こしやすいと言われています。なぜなら、成人よりも多くの水分が必要だからです。

高齢者が脱水症状になりやすい理由としては、体で最も多くの体液を含む筋肉が減るため体液も減少してしまうだけでなく、喉の渇きを感じにくい、腎臓の機能が低下する、全体的な食事量が不足する、トイレに行く回数を減らそうと水分摂取を控えてしまう、などがあげられます。このため、高齢者の脱水症状の予防対策としては、水分を摂るタイミングを毎日の生活の中に組み込んで習慣化するなど工夫することが大切です。

また、子供は、そもそもの体液量が多いうえに、体液の中でも喪失されやすい細胞外液が多い、体重当たりの*不感蒸泄(ふかんじょうせつ)*が多い、腎臓の機能が十分ではない、自分の意志で水分補給できない、1日の水分の出入り率が細胞外液の成人は通常1/7に対して、子供はおおよそ1/2が入れ替わることが、脱水症状を起こしやすい理由としてあげられます。このため、子供の脱水症状の予防対策としては、子供の様子を細目に観察し、不機嫌になるなどの脱水症状が疑われる変化を見逃さないことが大切です。

*不感蒸泄(ふかんじょうせつ)*:発汗以外の皮膚及び呼気からの水分喪失。

かくれ脱水の主な原因

①過度な発汗

最も明らかな脱水の原因といえば、発汗による水分の喪失です。これは、夏でなくても1年を通して一緒です。

②トイレが近い

頻繁にトイレに行きたくなるのは、様々な原因があるため、一概に脱水症状とは言えませんが、制御できないような排尿は、かなりの量の水分を体から奪い去るので、脱水を引き起こす原因となることがあります。

③食あたり

重い下痢や嘔吐の症状も、水分とミネラルを損失する可能性が高いです。特に子供や幼児が下痢や嘔吐をした場合は、大人以上に脱水に注意が必要です。

④お酒の飲みすぎ

お酒を飲みすぎると、体に水分を再吸収することが困難になります。それは、体内の抗利尿ホルモン(ADH)を遮断してしまうからです。このホルモンは、腎臓が水分を吸収するのに欠かせない役割を持っています。そのため、この抗利尿ホルモン(ADH)が体内に満たされていないと、トイレにばかり駆け込み、脱水を引き起こすことがあります。

かくれ脱水を予防するためのポイント

①のどが渇かなくても水分補給する

喉の渇きを感じたときは、すでに水分が不足している可能性があります。コップ1杯(約200㎖)の水を、のどが渇いたと感じる前に1日6~8回飲みましょう。

②1日3回食事から水分補給する

成人が1日に必要とする水分量は約2~3ℓと言われています。食事を3回しっかりと摂ることで、約1ℓの水分が補給でき、反対に1回の欠食で1日に約400㎖程度の水分不足を引き起こします。

③水分補給に適した飲み物を飲む

アルコールや、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物には利尿作用があるため、体内の水分を尿として排泄しやすくなり、水分補給には適していません。ミネラルウォーターやノンカフェイン麦茶などで日常的に水分補給しましょう。

④運動時には適切なタイミングで水分補給する

運動時には、15分くらいの間隔で、1回に約200㎖ずつ、糖分が2.5~3.5%含まれている飲料水(市販のスポーツドリンクの半分程度の濃さ)、水温6~13°の冷たさのものを飲むことが理想と言われています。

⑤日々の健康状態をチェックする

睡眠不足や朝食の未摂取、前日の飲酒などの生活習慣の乱が、脱水症状を引き起こすきっかけになることがあります。日々の健康管理や生活習慣の見直しをすることも、かくれ脱水を予防するためには大切です。

まとめ

汗をかくことの多い夏はあらゆるとこで脱水に気を付けようという声を聞きますが、夏以外の季節はあまり聞くことがありません。しかし、だからといって夏以外の季節に脱水にならない、ということではありません。汗をかかない季節は、知らず知らずのうちに体内の水分が減っていき、かくれ脱水を引き起こすことがあり、夏より自覚しずらいかもしれません。とにかく、夏の脱水も、夏以外の季節の脱水も「こまめな水分補給」が大切です。

お仕事や家事で忙しい時も、「まだのどが渇いていないな~」と思っても、季節は関係なく、時間を決めて行うなどの工夫をして、こまめに水分補給をしましょう。

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