散歩では筋肉はつかない!?高齢者の転倒予防に鍛えて欲しい筋肉ベスト3
こんにちは、スリーウエルネス理学療法士の原田です。
寒くなって、お家からなかなか出られず、運動不足になっていませんか? スリーウエルネスでは春・秋と「3Wellness 健康Week!」と題して、筋肉量や血管年齢の測定イベントを行っています。そこで、柔道整復師や理学療法士、健康運動指導士が結果のフィードバックを行うのですが、「筋肉量が少なく、体脂肪量が多い」という結果をお話することが多いです。
結果をフィードバックしていると、「毎日ウォーキングをしているのに…」など、有酸素運動を日課とされている方も多いです。とても健康にとって良いことだとは思いますが、有酸素運動では残念ながら筋肉はつきません。ウォーキングなどの軽い有酸素運動は体脂肪の増加を防いだり、血液や血管の状態を良好に保ったり、心肺機能を高めたりすることには大変有効です。しかし、たとえ毎日歩いていたとしても、筋力の低下は年とともに進み、骨や関節の機能もじわじわと衰えていきます。筋力不足は転倒リスクが高まります。寒い季節だからこそ身体を動かして、健康寿命を高めませんか?
【高齢者と転倒】
筋肉が衰えるとどのようなことが起こるのでしょうか?よくつまずくようになった、靴下が履きにくくなったなど、転ばずとも「バランスが最近悪い」と感じることはありませんか?
高齢者のバランス能力の低下には様々な要因があります。
①加齢による脳の神経細胞の減少
②加齢により身体の動きや位置、眼球の動きに関する感覚が鈍くなる
③加齢により耳の奥にある内耳のバランスを司る部分が衰えてしまう
④下肢の筋力低下
などの因子が影響しており、それらが転倒の大きな要因となっています。
その中でも下肢の筋力低下は転倒の危険性を4.9倍も上昇されることが報告されています。
理学療法士協会が掲載している理学療法ハンドブックシリーズ18転倒予防によると、65歳以上高齢者の3人に1人は、年間に1回以上転倒すると言われています、2021年時点で我が国の高齢者人口が3,640万人と仮定すると実に1,213万人もの人が1年間に1回以上転倒することになります。転倒した人のうち、約5%に骨折が認められると言われていますので、1年間に61万人程度骨折しています。この情報を基に計算すると、我が国の高齢者において、約3秒間に1人が転倒し1分間に1人以上が骨折していることになります。数字にすると転倒し、骨折することが身近なことだと感じます。
【高齢者が鍛えたい筋肉】
最初にお伝えしたように、有酸素運動では筋肉はつきません。加齢とともに、お腹や背中の筋肉が衰えると、姿勢も悪くなり、いわゆる猫背になってしまいます。猫背になると歩くときに、股関節を上手く使えず、すり足のように歩くようになります。こうした猫背姿勢からすり足になり、小さな段差にも引っ掛かりやすく、転倒リスクもより高まってしまいます。
そこで、特に高齢者の方は下半身の筋力を鍛えて欲しいです。特に、大殿筋や中殿筋と呼ばれるお尻の筋肉や、大腿四頭筋と呼ばれる太ももの筋肉です。
◎大腿四頭筋
太ももの前にある大きな筋肉群で主に膝関節を伸ばす動きを助けます。歩行時において、体重を支えるために、膝を安定させ、次のステップへの準備を行います。
◎中殿筋
臀部の側面に位置し、股関節を動かす筋肉です。歩行時には片足が地面に接している時、反対側の骨盤が下がりすぎないように中殿筋が働き、骨盤を水平に保ちます。この動きは歩行の効率性と安全性を高めます。
◎大殿筋
臀部の最も大きな筋肉で股関節を後ろに引く動きを助けます。歩行時においては、骨盤の前後の安定性を保ち、足を後ろに引き、歩幅を確保する役割を果たします。
これらの筋肉が協力して働くこと、スムーズで効率的な歩行が可能になります。
では、それぞれ、どのように鍛えればよいのでしょうか?簡単に自宅で出来るトレーニングをお伝えします。
【筋力トレーニング】
自宅で出来るトレーニングを紹介します。無理のない範囲で取り組んでみましょう。
大腿四頭筋
レッグエクステンション
①椅子に座り、ひじ掛けや座面の淵を握ります。
②膝を伸ばした状態で30秒キープしていきます。
※2~3セットから始めてみましょう。
【簡単シリーズ編】
クアドセッティング
①タオルを丸めたものや、クッションを膝裏に設置します。
②タオルを潰すように膝を伸ばし30秒キープします。
※2~3セットから始めてみましょう。
中殿筋、大殿筋
スクワット
①椅子の背もたれや、手すりなどを把持します。
②お尻を突き出すように、しゃがんでいきます。膝は内側に入らないよう注意します。
③1、2、3とゆっくりカウントしながらしゃがみ、また、1、2、3とカウントしながら立ち上がります。
※10回を1セットとし、2、3セットから始めてみましょう。
【簡単シリーズ】
ヒップリフト
①仰向けで寝た状態で、膝を立てます。
②お尻を持ちあげ、上で30秒キープし、ゆっくり①の状態に戻ります。
※2~3セットから始めてみましょう。
※全ての運動で、痛みや違和感があればすぐに中止してください。
<参考・引用文献>
中高年のスロトレ/石井直方 著
理学療法ハンドブックシリーズ18転倒予防
理学療法ジャーナル 特集 筋力低下と理学療法
【スリーウエルネスでできること】
いかがでしたか?転倒予防で鍛えて欲しい、部位や簡単なトレーニングをお伝えしました。
運動初心者で何からはじめたら良いか分からない方、運動で痛みが出てしまう方など、スリーウエルネスで一緒にトレーニングをして解決してみませんか?スリーウエルネスは、理学療法士などの医療国家資格を持ったトレーナーがトレーニングを行うため、歩行に不安がある方なども、安心してトレーニングが行えます。体験もあるので、一度、お気軽にご連絡ください。