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トレーニング&ケア

2024.10.23

【寝不足の方必見!】良質な睡眠のための環境作り

こんにちは、スリーウエルネスの健康運動指導士、尾嶋です。

厚生労働省が2000年から始めた国民健康づくり運動「健康日本21」では、身体及び心の健康を保つための三要素として、適度な「運動」、バランスの取れた「栄養・食生活」、心身の疲労回復と充実した人生を目指す「休養」を掲げています。健康づくりにおける重要な要素である「休養」には良質な「睡眠」が不可欠ですが、なんと日本国民の3人に1人が量・質ともに十分な「睡眠」がとれていないと言われています。そこで今回のブログ記事では、厚生労働省が2023年2月に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が示す「成人」「こども」「高齢者」のライフステージ別の推奨事項、量・質ともに十分な「睡眠」を確保するためのポイントや望ましい生活習慣等について紹介します。

日本人は睡眠時間が短く、睡眠による休養がとれていない!?

睡眠の重要性についてはさまざまな科学的知見がありますが、日本人の睡眠時間は短く、睡眠による休養がとれていないことが知られています。睡眠は、健康増進・維持に欠かせない休養活動です。そのため、睡眠不足は日中の眠気や疲労、心身の不調につながります。

また、睡眠不足が慢性化すると、肥満・高血圧・糖尿病・心疾患等の発症リスクが上昇することが明らかになっています。2019年の国民健康・栄養調査によると、「1日の平均睡眠時間が6時間未満の人」の割合は、男性37.5%、女性40.6%となっており、性・年齢階級別に見ると、男性の30~50歳代、女性の40~50歳代では4割以上を占めていると言われており、特に50歳代においては悪化の傾向が大きいとされています。

表1「健康日本21(第三次)」休養・睡眠分野に関する目標・指標

(出典)厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023.

そこで、2023年5月に公表された「健康日本21(第三次)」では、休養・睡眠分野の目標として「睡眠で休養がとれている者の増加」を設定し、2032年(令和14)年までに「睡眠で休養がとれている者の割合80%にする」「睡眠時間が6~9時間(60歳以上は6~8時間)」の割合を60%にする」という目標値を定めています(表1を参照)。

ライフステージ別の睡眠推奨事項とは

健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)では個人差を踏まえつつ、日常的に質・量ともに十分な睡眠を確保し、心身の健康を保持するという全体の方向性が示され、ライフステージごとに推奨事項が示されています。

【高齢者の場合】

①長い床上時間が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する

②食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める

③長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中は長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。

【成人の場合】

①適正な睡眠時間は個人差があるが、6時間以上を目安として、必用な睡眠時間を確保する。

②食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境を見直して、睡眠休養感を高める。

③睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。

【子供の場合】

①小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保する。

②朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜更かしの習慣化を避ける。

良質な睡眠のための環境づくりのポイント

①日光を浴びる

朝日の強い光を浴びたり、日中の光を多く浴びると体内時計が調整されて入眠しやすくなります。

②寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まない

スマートフォンのLEDには体内時計への影響が強いブルーライトが多く含まれているため、寝室に持ち込まず、できるだけ暗くして寝るのがよい睡眠につながります。

③寝室を適温にし、就寝1~2時間前に入浴して体温を温める

室温は暑すぎず、寒すぎないように調整する。夏の室温はエアコンを用いて涼しさを維持する一方、冬の場合は、WHOの「住民環境ガイドライン」では18度以上にすることを推奨しています。また、寝る前に体を温めると入眠しやすくなることが報告されているため、就寝の約1~2時間前に入浴すると入眠しやすくなります。

④できるだけ静かな環境で寝る

騒音によって深い睡眠が減少する結果が報告されおり、欧州WHOガイドラインでは、夜間の屋外騒音を40㏈未満とすることを推奨しています。

適度な運動で睡眠の質をあげよう

睡眠は日中に消耗した体力を回復する役割も担っており、日中の身体活動の量と強度が、眠りの必要量や質に影響します。運動習慣のない人は睡眠休養感が低いことが分かっているので、日中に体をしっかりと動かすことが重要です。

①有酸素運動と筋トレをしよう

身体活動は、「生活活動」と「運動」に分けらます。「生活活動」は、日常生活における労働、家事、通学などの活動を指し、「運動」は、体力の維持・向上を目的に計画的・意図的に実施する活動と定義されています。運動だけではなく、買い物、掃除などの生活活動量を増やすこともよい睡眠につながります。睡眠の質を高めるために推奨されている「運動」は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。有酸素運動は寝つきをよくし、深い睡眠を増加させ、睡眠休養感を高めます。また、筋力トレーニングも睡眠改善に効果があるので、2つを併用してもいいでしょう。

②中~高強度の運動を1日60分程度

中~高強度の運動は、主観的な睡眠の質を高め、寝つきをよくし、睡眠効率を改善します。中強度の運動とは、息が弾み汗をかく程度の運動です。例えば、屋外でのウォーキング、軽い筋トレ、などの運動が該当します。

逆に、過剰に強度の高い運動は、睡眠を妨げる可能性がありますので、年齢や体力、体調応じて無理のない程度に軽い運動から始め、少しずつ運動強度を増やしていくようにしましょう。運動時間は1日60分程度を習慣化することが理想です。まとまって運動する時間がない場合は、まず、1日60分未満でも定期的に運動する習慣をつけ、少しずつ運動時間を増やしていくことが大切です。

【身体活動(運動および生活活動)の強度と内容】

低強度:家の中で歩く・ストレッチ・ヨガ 洗濯物の片付け・買い物・植物の水やりなど

中強度:歩く(やや早めに)・軽い筋力トレーニング、水中歩行・太極拳・パワーヨガ・ピラティス 掃除機をかける・洗車など

高強度:ジョギング・水泳・エアロビクス サッカー・登山など

【おわりに】

健康づくりのために、睡眠が果たす役割はとても大きいです。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、一人ひとりがそれぞれのライフスタイルに合わせて良質な睡眠を得られるように、さまざまな推奨事項を掲げています。睡眠時間と睡眠休養感の確保のために、この「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を有効に活用して、今後の健康維持・増進に役立ててください。

■参考資料

1,厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023

2,厚生労働省:健康日本21(第二次)最終評価

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