1. ホーム
  2. ブログ
  3. 健康診断の結果、放置していませんか?健康診断の目的と検査結果の見方を知ろう!

トレーニング&ケア

2022.09.01

健康診断の結果、放置していませんか?健康診断の目的と検査結果の見方を知ろう!

こんにちは。スリーウエルネス看護師の富永です。

私たちが毎年受けている健康診断。健康診断は様々な病気の早期発見はもちろん、自分の身体の健康状態を振り返る良い機会にもなります。基礎疾患のある方にとっては、身体の状態を知る重要な指標になりますね。健康な方や若い方にとっては、この一年どう過ごしたかを知る通知表を受け取るような気分になる方も多いと思います。

ただし、健康診断の結果も通知表を受け取ったときと同じく、一喜一憂して終わるだけでは意味がありません。チェックが入った項目は改善することが大切です。 そこで今回は、日本人間ドック学会の検査表を参考に、健康診断の主な検査値の基準範囲と関連する病気を見ていきましょう。

健康診断はなぜ必要?

多くの病気は、加齢よりも生活習慣の影響を大きく受け起こることが明らかになってきました。言い換えれば、不健康な生活習慣を改め、健康的な生活を送っていれば、多くの病気のリスクを減らすことができるということです。

生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する病気」と定義されています。 健康診断は、生活習慣病のリスクが高い人を早期に発見し、食習慣の改善や適度な運動、飲酒・禁煙対策により、病気の発症や進行を予防するために行われているんですね。

基準範囲って何?

検査項目の説明の前に、最近、健康診断を受けた方は見覚えがあるかもしれません。気づいた方もいるかもしれませんが、検査結果に「基準範囲」という言葉が書かれていると思います。「基準範囲」ってそもそも何を示すものかご存知ですか? 検査値の基準範囲とは、「健康な人の約95%が含まれる範囲」として定義されています。以前は「基準範囲」とは呼ばず、「正常値」という表現が使われていましたが、健康状態は正常とされた人でも一部の項目で基準範囲から外れた場合、病気であると誤解を与えることから、現在は基準範囲という表現が使われるようになっています。

身体計測・血圧・視力・聴力

ではさっそく、健康診断をより理解するために、検査の目的や検査項目、何がわかるのか、関連する病気などを基準範囲とともに説明したいと思います。

身体計測

BMI値
BMI値は⦅体重(kg)⦆÷⦅身長(m)の2乗⦆で算出し、肥満度を判定します。
BMIが25kg/㎡を超えると生活習慣病のリスクが2倍以上になるとされています。

腹囲
メタボリックシンドロームを判定するための基本になるのが、腹囲の数値です。

血圧

心臓が収縮したときの血圧が収縮期血圧(俗にいう「上の血圧」)で、心臓が拡張しているときの血圧が拡張期血圧(俗にいう「下の血圧」)です。 血圧は食塩の過剰摂取や肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質などにより上昇する場合と、甲状腺や副腎などの病気により上昇する場合があります。血圧が高くなる原因は様々です。それだけ身体の変化に敏感に反応するのが血圧です。血圧の変化だけも多くの病気や不調を発見するきっかけになりそうですね。

視力検査

目の病気がないのに裸眼視力が0.7未満の場合は近視・乱視が疑われます。

聴力検査

低音と高音の両者が聞こえるかを調べます。 1000Hzの低い音では30dB(デシベル:音の大きさの単位)以下の音が聞こえれば正常です。4000Hzの高い音では30dB以下が正常です。それ以上でないと聞こえない場合は、難聴や中耳炎などが疑われます。

血液検査

肝臓系検査

総たんぱく(TP)
血液中のたんぱく質の総量を表します。数値が低い場合は栄養障害や腎臓の病気であるネフローゼ症候群、ガンなど、高い場合は多発性骨髄腫、慢性炎症、脱水などが疑われます。

アルブミン
血中に含まれるタンパク質のうちで最も多く含まれるのがアルブミンです。アルブミンは肝臓で合成されます。数値が低い場合は肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などが疑われます。

AST(GOT)とALT(GPT)
AST(GOT)は、心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酵素です。
ALT(GPT)は肝臓に多く存在する酵素です。
数値が高い場合は急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、アルコール肝炎などが疑われ、ASTのみが高い場合は心筋梗塞、筋肉疾患などが疑われます。

γ(ガンマ)‐GTP
γ‐GTPは肝臓や胆道に異常があると血液中の数値が上昇します。数値が高い場合はアルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害が疑われます。

ALP(アルカリホスファターゼ)
ALPは、肝臓、骨、腸、腎臓など様々な臓器に含まれている酵素です。 数値が高いと胆道系の病気のほか、急性膵炎、肝硬変、肝臓がん、骨の病気などが疑われます。なお、検査の数時間前に脂肪の多い食事を摂ると異常がなくても検査値が高くなることがあります。

腎臓系検査

クレアチニン(Cr)
アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝された後の老廃物です。 筋肉量が多いほどその量も多くなるため、基準範囲に男女差があります。腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。数値が高いと腎臓機能の低下が疑われます。

尿酸(UA)
尿酸は、たんぱく質の一種であるプリン体が代謝された後の老廃物です。この検査では尿酸の産生・排泄のバランスがとれているかどうかを調べます。高い数値の場合は高尿酸血症といい、高い状態が続くと、結晶として関節に蓄積され、突然関節痛を起こします(痛風発作)。また尿路結石も作られやすくなります。

脂質系検査

総コレステロール(TC)
血液中にはコレステロールという脂質が含まれています。ホルモンや細胞膜を作る上で大切なものですが、増えすぎると動脈硬化が進み、心筋梗塞などにつながります。数値が高いと、動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性高脂質異常症などが疑われます。低い場合は、栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症、肝硬変などが疑われます。

HDLコレステロール
善玉コレステロールと呼ばれるものです。血液中の悪玉コレステロールを回収します。少ないと、動脈硬化の危険性が高くなります。数値が低いと、脂質代謝異常、動脈硬化が疑われます。

LDLコレステロール
悪玉コレステロールと呼ばれるものです。LDLコレステロールが多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性が高まります。

中性脂肪(TG:トリグリセリド)
体内の中で最も多い脂肪で、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。数値が高いと動脈硬化を進行させます。低いと、低βリポたんぱく血症、低栄養などが疑われます。

糖代謝系検査

血糖値(FPG)
糖とは血液中のブドウ糖のことで、エネルギー源として全身に利用されます。測定された数値により、ブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかがわかります。数値が高い場合は、糖尿病、すい臓がん、ホルモン異常が疑われます。

HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)
過去1~2か月の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病のコントロールの状態がわかります。また、空腹時血糖(FPG)が126mg/dLかつHbA1cが6.1%以上なら糖尿病と判断します。

血球系検査

赤血球(RBC)
赤血球は肺で取り入れた酸素を全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収して肺へ送る役目を担っています。 赤血球の量が多すぎれば多血症、少なすぎれば貧血が疑われます。

血色素(Hb)
血色素とは赤血球に含まれるヘムたんぱく質で、酸素の運搬役を果たしています。減少している場合は鉄欠乏性貧血などが疑われます。

ヘマトクリット(Ht)
血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットといいます。数値が低ければ鉄欠乏性貧血などが疑われ、高ければ多血症、脱水などが疑われます。

MCV・MCH・MCHC
MCVは赤血球の体積を表します。MCHは赤血球に含まれる血色素量を表します。MCHCは赤血球体積に対する血色素量の割合を示します。MCVの数値が高いと、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、過剰飲酒が疑われます。低いと、鉄欠乏性貧血、慢性炎症に伴う貧血が疑われます。

白血球(WBC)
白血球は細菌などから体を守る働きをしています。
数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍の存在が疑われますが、どこの部位で発生しているかはわかりません。タバコを吸っている人は高値となります。少ない場合は。ウイルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などが疑われます。

血小板数(PLT)
血小板は、出血したどのとき、その部分に粘着して出血を止める役割を果たします。 数値が高い場合は血小板血症、鉄欠乏性貧血などが疑われます。低い場合は再生不良性貧血などの骨髄での生産の低下。突発性血小板減少性紫斑病などの体の組織での亢進、肝硬変などの脾臓でのプーリングが考えられます。

尿検査

尿中の蛋白や糖などを調べ、様々な病気やその兆候を知ることができる検査です。 尿中の蛋白は腎臓の病気、潜血は結石や腎炎等、糖は糖尿病関連、ウロビリノーゲンは肝臓の病気の可能性があります。どの項目も、精密検査が必要とされたときは、医療機関を受診することをお勧めします

便検査

便潜血が陽性(+)であれば、消化管からの出血があり、病気が疑われます。速やかに医療機関を受診しましょう。

心電図検査

心電図検査とは、心臓全体の働きを調べることができ、心臓病の発見や診断、病状の把握薬の副作用の発見などに欠かせない検査です。

胸部レントゲン検査

肺結核の他、肺炎・肺気腫・自然気胸・肺がんなどの肺の病気、心肥大・弁膜症・先天性心疾患などの心臓の病気の発見や診断に使われます。

胃部X線検査

胃を調べる画像診断には、「腹部単純X線検査」、「上部消化管X線造影撮影」「上部消化管内視鏡検査」などがあります。

上部消化管X線造影撮影

バリウムと呼ばれる造影剤と胃を膨らませる発泡剤を飲んでX線を照射して撮影します。映し出された形状から狭窄や偏位・変形、炎症、腫瘍、がんなどがないかを調べます。

胃内視鏡検査

内視鏡を口(鼻)から挿入し、消化管の内部を観察する検査です。食道、胃、十二指腸の病変を調べることができます。 胃部検査で要精密検査、要治療と診断された方はなるべく早く医療機関を受診しましょう。

まとめ

生活習慣病は自覚症状がないことが多く、自分では健康と思っている方がほとんどです。症状がないからと言って、改善せず、放置すると生活習慣病が悪化し、取り返しのつかないことになることもあります。年に一度の健康診断は小さな体の変化を見逃さず、病気の兆候を知るための大切な機会。結果に一喜一憂するだけでなく、早め早めに手を打つことで、いつまでも健康に過ごしましょう!

スリーウエルネスでは健康運動指導士、理学療法士、柔道整復師のほか、看護師も常駐し、日頃のトレーニング時の体調管理のほか、健康の相談なども行い、利用者様が安心してトレーニングできる環境を整えています。運動は生活習慣病予防の特効薬。スリーウエルネスでトレーニングしてみませんか?

スリーウエルネス看護師 富永

関連記事

一覧へ戻る
ページのトップへ