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トレーニング&ケア

2022.07.13

認知症は防げる?治せる?理学療法士が解説!認知症の原因と予防

こんにちは。スリーウエルネス理学療法士の原田です。

今回のブログテーマは「認知症」について。総務省統計局によると2021年の日本の高齢化率は29.1%と世界一で、人口の約3割が65歳以上です。2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。

年齢が高くなればなるほど、発症のリスクが高まる認知症ですが、発症する前に予防したり、発症後早い段階での治療や、生活習慣を見直すことで進行を遅らせることができるという研究結果も多くあります。早期に身近な方の変化に気付けるよう、今から知識を付けておきませんか?今回は認知症について詳しくお話しします。

認知症って?

そもそも認知症とはどんな病気かご存知ですか?

実は、「認知症」という特定の病気はありません。脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態のことを「認知症」呼びます。
近年、生活や仕事に支障をきたさないような軽い症状でも「軽度認知障害」と、早期診断がなされるようになりました。

年を取れば誰もが、もの覚えが悪くなり、人の名前を忘れることがあります。これらは脳の老化によるもの。しかし、認知症による「もの忘れ」は脳の神経細胞が壊れることが原因で、老化とは異なります。

加齢による物忘れとの違いって何だろう?

では、もの忘れと認知症の違いは何でしょうか?

加齢によるもの忘れは、もの忘れを自覚しており、体験した一部を忘れてしまいますが、ヒントがあれば思い出せます。また、判断能力は低下しないため、日常生活に支障をきたすことはありません。食事に例えると、食べたこと自体は覚えていますが、何を食べたかが思いだせないという状態です。

しかし、認知症によるもの忘れは、もの忘れの自覚がなく、体験したこと自体を忘れてしまい、ヒントがあっても思い出せません。こちらも食事に例えると、食べたこと自体の記憶が抜け落ち、実際は食事をしているのに食べてないと言ったり、何度も食事を要求してしまいます。また、判断能力も低下してしまうので、日常生活にも支障をきたします。

軽度認知障害とは?

先ほど少し触れましたが、近年、早期診断できるようになった「軽度認知障害」とはどういう状態なのでしょうか?

軽度認知障害とは、認知症の一歩手前、記憶障害があるものの症状はまだ軽く正常な状態と認知症の中間の状態のこと。

軽度認知障害の定義

  • 本人または家族から物忘れの訴えがある
  • 加齢だけでは説明できない記憶障害がある
  • 全般的な認知機能は正常
  • 日常性活は自立している
  • 認知症ではない

軽度認知障害を放置すると、認知機能の低下が続き、5年で約40%の人が認知症へ進行すると言われています。しかし、早めに適切な介入ができれば、認知症の発症を防ぎ、遅らせることが可能です。

適切な介入とは、食事や睡眠、運動などの日常生活を整えたり、目的をもって外出し、他者との交流することなどです。 規則正しい生活を送り、社会と繋がることが認知症の発症予防には大切なんですね。

認知症の症状

認知症では、脳の病的な変化や病気などによる脳の障害により脳の細胞が壊れます。 その壊れた細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状を「中核症状」、 一方、中核症状によって引き起こされる二次的な症状を「周辺症状」と言います。 脳の神経細胞の減少の程度が進むにつれ、認知症の中核症状は進行していきます。また、中核症状の進行と並行して多様な周辺症状が現れますが、適切な治療・ケアにより日常生活を改善することができます。

認知症の原因と種類を知ろう

認知症には数多くの原因となる疾患や病態があります。その原因によって現れやすい症状も異なります。認知症の原因となる疾患は代表的なものが4種類あり、最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で認知症全体の約7割を占めます。次に脳血管障害が原因で起こる「血管性認知症」、この二つに「レビー小体型認知症」と「前頭側頭型認知症」を合わせて4大認知症と呼ばれています。

アルツハイマー型認知症

認知症の原因として最も患者数の多いのがこのアルツハイマー型認知症です。大脳の側頭葉「海馬」が萎縮していきます。また、病理診断で「老人斑」と呼ばれる変化が見られるのも特徴です。 症状はもの忘れから始まり、次第に進行します。初期には体はよく動きますが、いずれ大脳の機能が弱くなって寝たきりになります。ただし、治療によって進行をゆるやかにすることが可能です。

血管性認知症

脳内の血管の詰まりや出血、いわゆる脳卒中が原因で、脳細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が破壊されて発症するのが血管性認知症。このタイプでは障害を受けた部位によって症状程度や中核症状は異なりますが、症状が出たり消えたりする「まだら認知症」になりやすいのが特徴です。

レビー小体型認知症

脳の側頭葉の萎縮による物忘れ、後頭葉の萎縮や活動の低下による「生々しい幻視」が最も目立つ特徴です。 手の震えや小刻み歩行、手足のこわばり、表情がなくなるなど、パーキンソン病のような症状のほか、便秘や失禁、立ちくらみなどの自律神経症状をともなうことがあります。

前頭側頭型認知症

前頭葉と側頭葉という場所の神経細胞が減少し、脳が萎縮することで引き起こされる認知症です。萎縮する場所により、いくつかのタイプに分けられますが、感情の抑制が効かなくなる、上手くしゃべれなくなる、言葉の意味を理解できなくなるなどの症状が特徴的です。

予防や治療が可能な認知症

「血管性認知症」は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが原因で発症します。そのため、これらの疾患の原因となりうる高血圧、糖尿病、脂質異常症などをしっかり治療することで予防や進行を防ぐことができます。以前のブログで脳卒中の予防について解説しているので、是非ご覧くださいね!

頭部外傷によって、頭蓋骨と脳の間に血液がたまる「慢性硬膜下血種」や脳室が拡大して起こる「正常圧水頭症」起因した認知症は脳外科手術によって治療することで、人によって程度に差はありますが改善が期待できます。

運動と認知症について

認知症に対する非薬物療法(薬を用いない治療)の中では現時点で発症予防・進行抑制への有効性が確立しているのは「運動療法」だけです。

「中等度の有酸素運動を1日30~40分、週3日以上で半年~1年の継続」が推奨されています。

運動療法と非薬物療法を組み合わせるとさらに効果が高まるといわれています。 また、運動療法と認知刺激療法を組み合わせ、歩いたり体操をしながら計算などの認知課題を行うと有効性が増すとの報告もあります。

なぜ運動が認知機能に好影響を与える?

では、なぜ運動が脳の認知機能に良い影響を与えるのでしょうか?

まず、運動をすると、脳の神経を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が海馬(記憶を司る部分)で多く分泌され、海馬の機能維持や肥大に効果をもたらすからだと考えられています。

また、体を動かすと、脳から出た指令が神経を介して筋肉が動かし、同時に筋肉から出た信号が脳に伝わって脳を活性化する。つまり、脳と筋肉は、相互に刺激し合う重要な関係性にあります。

さらには、脳が正しく働くためには、絶えず十分な血液が流れている必要があります。高齢者やアルツハイマー型認知症患者の脳では、海馬などで脳血流の低下が見られ、この血流を改善するためにも、運動をして体を動かすことが効果的だと考えられています。

まとめ

紹介してきたように、適度な運動は体と脳神経の機能を改善し、認知症予防に役立つとわかってきました。認知症発症の全てが解明されているわけではありませんが、日々の運動習慣が認知症の発症率を下げることができます。スリーウエルネスでは、医療国家資格を持ったトレーナーがマンツーマンでトレーニングを行うため、ご高齢の方でも安全にトレーニングができます。トレーナーの中には理学療法士の資格保有者もいるので、運動と認知刺激療法を行うこともできますよ。ぜひ、ご家族の健康を一緒にサポートしませんか?

スリーウエルネス理学療法士 原田

<参考サイト>
総務省統計局 統計からみた我が国の高齢者
公益財団法人長寿科学振興財団 認知症の予防とケア

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